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二十六話:愛の大聖霊、イーズベリア

両開きの扉を開いた俺は中へ入ると、真っ先に目撃したものはその薄暗い円筒形の部屋に、一本道で通っていける段差があること。


そして、その向こうの斜め上の最奥に、『それ』が見えたこと。

クリスタルで出来た透明な柱に、中へ覗けるものがあることに気づく。


よく眺めていると、中には両腕、両脚、胸部や股間にそれぞれ小さくて柔らかい白い包帯が巻きついたり、貼られたりしてる少女がいること。


後ろ髪を冠みたいに三つ編みで締めくくられた白髪ショートヘアの少女は眠っているように両目を閉じたまま、クリスタルの中に立ったまま一切の反応と動きも見せない様子だが、どこか神秘的な雰囲気も感じさせる儚い顔立ちをしているようだ。


顔の方を観察してみると、丸っこい大きな頭と幼い体つきにはどこか11歳から13歳までの人間の年齢に相応しい外見を持っているようだけど、何故か少女の謎めいた幻想的な眠り顔を見てるうちに彼女の『本当の年齢』が垣間見えた気がする。


「お前は……」


スウゥ……


!あの少女!閉じたままの目がいきなり開いたよー!?


『ようこそ、……フェクモのお兄ちゃん……お名前……なに?』


「よかろう。入ってきたのは俺だし、先に名乗ってみても筋が通る話だ。じゃ、俺の名はオケウェー。オケウェー・ガランクレッドだ。お前はー?」


『自分は、……イーズ。……愛の大聖霊、……イーズベリアだ』


「やっぱり、そうだと思ってたぜ。お前のその神々しいオーラを目にしたら、自然と導き出される答えだ。で、ドアに入る前にも『頭の中に』言ってたんだよな?その……単刀直入に聞く!お前はさっき、……【死息吹デースブレス】とか言ってたな。それがどういう意味でいったのか、説明してもらえるんだな、イーズベリア?」


『はい。オケ兄ちゃんはオケ兄ちゃんだよ?……たとえ、その身に流れる力……邪の神から由来していても……』


「『オケ兄ちゃん』って、……それにお前が言ってるそれは【邪神ヴェルグニール】だったよな?そして、俺をそいつへと関連付けようとしたこと、つまり、お前が俺の正体―!」


確かに本で読んだことある。俺の体内に流れてるこの【死の息吹】は、本当は【邪神ヴェルグニール】の肺臓から出ていたものとされ、そしてどういう訳か、邪神が討伐された後その【死の息吹】が当時にいた【12死人の使徒】が体内に宿るよう受け継いでから、初めて【死霊魔術】が生まれた。


それもあの12人が最初にして、最強集団の使い手とされた。


それから、使徒と使い手も400人か、500人までには増えたけど、彼らの活動に気づいた各国の上層部はその新しくできた魔術のことを【邪なる魔術】や【諸悪の根源】として認定し、【ゼッドウィング条約】にて国際法に基づいて使用するのが忌避とされ、禁じられし魔術となった。


罰せられる場合、罪人に待っているのは長い拷問の末、死刑あるのみ。全ては、天頂神アーズリア=イロインへの信仰と忠実なるなる心が故の決定だ(宗教的な意味合いで)


これは既に本で読んだ、【死霊魔術】に関する歴史。


……………………


『そうだよ……オケ兄ちゃんは死霊魔術使いだよね?……イーズ、なんでも知ってるよ?お名前聞いたのも……礼儀作法だけ』


「……まあ、そりゃそうだよな、何千年も前から生きてきた大聖霊のお前が、何らかの能力で俺の体内に宿る『これ』に気づいても不思議じゃないし、念話でも出来ると言うことは既に俺の脳内を覗いてきて名前に関する情報も掴めたはず。そうだよなー?イーズベリア?」


『ご名答。じゃ、……もう話おわり?イーズ、お腹すいたから、オケ兄ちゃんの……【契約精霊】になってあげても……いいよ?』

「ーへえ?」


なんか聞かされた言葉が信じられず、聞き返してしまった俺だった。だって、そんなに簡単なものなのかーってなる!


『だから、いいよ。……【契約精霊】になってあげること……イーズ、お腹すいたから……こっちきて連れ出していって……もう我慢……できないから』


「お、おう……じゃ、近くによってみてもいいよな!分かった!」


人間の若き少女の姿をしたそのイーズベリアと自身で名乗ってくれた【愛の大聖霊】の要望に答えるために、そして『彼女を自分の契約精霊とする』ために、指示に従って、段差を進んでいった先にある少女が眠ってるところのクリスタルへと触れそうな距離で辿り着いた。


心なしか、目を開けたところから、ずっとあの無表情な顔とうつろな目を浮かべていたイーズベリアの頬に、俺が近づくのにつれてちょっと朱が差していることに気づいた。


『じゃ、この【不触の一柱】に手を添えて。……出ていくため……』

「こうか?」


言われた通りに手を据えると、

カチイーーーーーーーーーーンンン!!!


「おー!何だこの光ーっ!」

ゴドーーーーーー!!


「っておいー!」


手を触れてみると、いきなり光が発生したかと思えば、すぐに目の前に出現した11歳の少女の姿をしている聖霊とは思えないような身体能力で、俺を押し倒してきた。


まったく、オードリーとの一件といい、俺ってよく女の子から押し倒されてるなボイーなんだなー!


ず~りりゅーーー!ずりゅーー!

「おいー!なに人の服を脱がす―」


『はぁ~~ちゅ!ちゅちゅ~~くちゅううゥゥウちゅううちゅうゥぅうう~~~!』

「あヴぁヴぁヴぁああぁ~~あヴぁ~~!?」


『ちゅ!ちゅちゅくちゅくちゅううちゅ~~~!』

「ヴぁーー!!ひゅ~んん………………」


どういう訳か、いきなり押し倒された俺はイーズベリアに上着とシャーツを脱がされ、そして露わになっている俺の胸板にある乳首に吸いついてきたのであるーー!なんじゃこりゃーーー!!


でも、真っ白い絹のような肌をした幼い見た目の少女が俺の身体の上に乗って、彼女のと正反対な濃い褐色肌をしてる俺の胸板へとその唇を触れさせることはどう見ても、見る者を唖然とする光景なのだろうなあぁ………


うぅうぅうぅうぅぅ………


自分より何歳も若く『見える』女の子の姿をしている数千年の時を生き抜いてきた大聖霊に押し倒された挙句、乳首を吸われるなんて…………


恥ずかしすぎて死んじゃいそうだし……

それに、超くすぐったいしー!


………………


………


「…ってあれ…?」

『もう起きた?……オケ兄ちゃん』


「ここは……?」

『思い出せないはずないもん……オケ兄ちゃんから聖魔力を吸ったからって……』


「はーーっ!そうだ、ここは『愛の大精霊』がー」

『そうだよ。イーズの【開かぬ間の聖道】に入ってきた……そして、オケ兄ちゃん から食べちゃった……聖魔力。だから、いい。……これから、イーズは、契約精霊なる……オケ兄ちゃんの』


「ーー!そ、それならー!」

『はい。さあ、連れていって。……みんなのところに……助けたいはず』


……ああ!そうだな……『俺達』が征くんだ!


「じゃ、俺の手をとって、イーズベリア!オードリー達のことを助けにいくぞー!」


『御意。……イーズ、何千年の時を越えて、久しぶりだ。……2番目の契約人間オケ兄ちゃんの、……【聖剣】になる』


それだけ言ったイーズべリアは、やっとその顔に可愛い微笑を浮かべながら、俺と手を繋いできた!


「よし!みんなのところへ戻るぞーーー!!クレアリスの救出も!」


タタタターーーー!!


決意を胸に、ようやく【愛の大聖霊イーズベリア】と契約を交わした俺は成功の達成感を胸に仕舞いこんだまま彼女をつれて、上階層へと向かっていくのだった!


というか、そのオケ兄ちゃんって呼び名……


なんかくすぐったいから皆の前で止めてもらえると助かるんだけどぉ……


そんなことを思いながら駆けあがっていく『俺達』だった。


……………………………………………………


……………………


_______________________________________

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