リリーの修業 その二
「トナカイ、今日はこの前の続きをしようよ!」
「わかったのよ! はい、どぞー」
「これは……包丁とジャガイモ! 違うよトナカイ! 料理じゃなくて修業の方だよ!」
「あー、そっちなのねぇ。わかったのよ!」
「さて、今回の修業はー」
「修業はー?」
「これなのよ!」
「これはっ!? ……何これ?」
「スライムなのよ?」
「うん、何となくそれは分かるんだけど……これをどう修業に使うの?」
「それはねー、こうするのよ!」
「っひゃぁ!? ウネウネしながら寄ってきた!」
「むふー、このスライムの攻撃を、華麗にかわし続けるのよ!」
「なんだか生理的に受け付けないよ!」
「リリー?好き嫌いしちゃ、ダメなのよー?」
「うー……わかった」
「そんじゃスタートなのよ!」
「うひぃっ! 意外と早い……あっ、あーっ!?」
「リリー、簡単に捕まってたら修業にならないのよー。あ、ちなみに捕まり続けるとお約束の服が溶けるあれな感じなのよ」
「先に言ってよトナカイぃ!? ぴゃぁああ見ないでぇぇ!」
「おー、何とか抜け出したのよ! でも、リリーの服がとっても風通し良くなっちゃったのよ。ちなみに服はしばらくしたら元に戻るのよー」
「は、恥ずかしい……」
「リリー、これは何時も心を乱されないよう、平常心を保つ修業でもあるのよーっ!」
「えっ……そうだったんだ」
「うむ、今考えたのよ!」
「……トナカイ、後で反省のポーズね」
「えっ……ささ、続きをするのよー」
「わかった……うひぃっ!?」
「……二回しか失敗しなかったのよー。修業の成果が出てるのよ!」
「二回もあんな姿に……女としての何かが減った気がする」
「ちなみに周囲を土壁で囲んでたから、誰にも見られてないのよ! 安心するのよ!」
「トナカイに見られた……」
「リリー」
「何……?」
「トナカイの格好を見るのよ」
「うん、いつも通りだね」
「つまり、そういうことなのよ」
「分かんない! 分かんないよトナカイ!」
「ささ、次の修業に移るのよー!」
「嫌な予感しかない」
「次の修業はー!」
「うん……」
「これなのよ!」
「バナナ?」
「バナナを、お口でキャッチする修業なのよーっ!」
「……トナカイ、いくら私が温厚でも、そろそろ怒るよ!」
「……リリー? よく聞くのよ」
「うん、聞くだけ聞いてあげる」
「この修業はねー、動体視力、体を精密に動かす身体制御、失敗しても負けない根性を鍛えられ、更に修業で消費するエネルギーを修業中に摂取することにより、継続して修業することができるという、とーっても、画期的な、修業なのよーっ!」
「えーっ!? ……ってトナカイ、それ今考えたでしょ」
「……ささ、始めるのよー!」
「ねぇ、トナカイ! トナカイってばー!」
「まずは肩慣らしなのよ! トナカイのバナナを食らうのよ!」
「何だか色々表現がおかしい……って早い! 早すぎるよトナカイ!」
「リリー、まだ肩慣らしなのよ? どんどんペースを上げるのよーっ!」
「はむっ! もぐもっ!? ぱくっ!? むしゃぁ!」
「なかなか筋がいいのよ! その勢いでどんどん食べるのよ!」
「むーっ!? んんーっ!」
「んー? どしたんリリー?」
「もぐもぐもぐ……ごくんっ! いくら私でも食べきれないよ!」
「そうなん? そんじゃ冗談はこのくらいにして、そろそろ真面目に修業するのよー」
「今までの全部冗談だったの!? もぉぉ!」
「むふー、必死に頑張るリリーは可愛かったのよー」
「もぉぉーっ! 反省のポーズをさせてやるんだからーっ!」
今日も仲の良い、トナカイとリリーであった。




