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トナカイの謎

「ねぇトナカイ?」

「どしたんリリー?」

「トナカイの背中についてるチャックって、なんでついてるんだろうね?」

「あーこれねぇ、トナカイが気づいた頃には既についてたから、実はトナカイにもわからないのよー」

「そうなんだ……中には何が入ってるの?」

「特に何も入ってないのよ。トナカイはこの中で、魔道具とかを創造して出してるけど、割と中は広そうなのよー」

「そうなんだ。ちょっと、覗いてみてもいい?」

「いいのよー」

「それじゃあ、ちょっと見てみるね?」

「……リリー? 別にもふもふしてもええけど、それじゃあチャックの中が見れないのよ?」

「ハッ!? 無意識にもふもふしてた。おそるべしとなもふ……」

「多分そんなことになるのは、リリーだけなのよー」

「こほん、それでは気を取り直して……ほんとだ、何にもないね。そしてすごく広いね」

「でしょー? といっても、トナカイ自分で見たことないけどねぇ」

「どこまで続いてるのか分からないくらい広くて、んー、底もなさそう。果てしなく広がっているような……よくわからない!」

「そうなん? 試しに入ってみる?」

「えっ、いいの?」

「リリーは特別なのよー」

「えへへ……それじゃ、入ってみるね? よいしょっと……」

「中はどうなん?」

「んー、不思議な感じ! 暑くも寒くもないね。下は底が分からないくらい深そうなのに、なぜか立てるよ!」

「そうなんねぇ。なんだか興味が湧いたから、色々調べるのよ!」

「うん!」



「「……」」

「結局、よく分からなかったね」

「うむ! 不思議ねぇ」

「私が元のドラゴン姿になっても、入口の大きさに関係なく入れたし、窮屈な感じも無かったよ」

「チャックを閉めたら中の時間が止まるみたいねぇ。少し経ってから開けたけど、リリーには一瞬の出来事だったのよね?」

「うん。閉まってからすぐに開いたよ?」

「試しに食べ物とか入れてみるのよ! せっかくだから、今からご飯を作るのよー!」

「うん! 私も頑張って手伝うね!」



「さて、あれから一週間ほど経ちました」

「リリー、なんで口調がいつもと違うん……あ、はい。そういうものなのね。続きをどうぞー」

「こほん、それでは、トナカイのチャック機能検証を始めます。チャックの中に入れていたものを一つずつ取り出してみましょう!」

「わかったのよ! まずはー、無難な保存食なのよ!」

「見た感じ、特になんの変化もありませんね。食べてみましょう!」

「もぐもぐ……味に変化はないのよー」

「もぐもぐ……うん、普通ね。それでは次の検証に移ります!」

「次はー、割と腐りやすい果物なのよ!」

「見た感じ、これも変化はありませんね。それでは、食べてみましょう!」

「うむ! もぐもぐ……やっぱり味に変化がないのよー」

「うん、これも普通ね。トナカイ、次出してー」

「リリー、ちょっと飽きてきたのね。口調が戻って「それはいいの!」……わかったのよ。次はー、これなのよ!」

「これは、氷菓子だね。見た感じ普通だね」

「うむ! 普通はすぐ氷が溶けちゃうのよ! はいリリー、あーん」

「あーん、はむっ……んー! 冷たくて美味しい!」

「もぐもぐ、ほんとねぇ。氷菓子を溶かさずに置いておけるのは、便利ねぇ。はい、もう一口どうぞー」

「あーん、あむっ……さっきより少し溶けてる。トナカイのチャックから出した途端に、少しずつ溶け始めたね。やっぱり時間が止まってたのかな?」

「そうみたいねぇ。不思議ねぇ」

「なんとなく結果が見えてるけど、次出してー」

「わかったのよー。次が最後、熱々のお鍋なのよ!」

「おー、まだグツグツいってる!」

「熱そうねぇ。はいリリー、あーん」

「あーん、はむっはふっ!? あふい! あふいお!」

「どしたんリリー、何だか楽しそうねぇ」

「ふぁー! もぐもぐ……ごくん! トナカイ、このお鍋の具、熱い!」

「そうねぇ。見た目通りだったねぇ」

「だったねぇ、じゃないよ! 口の中、火傷するかと思ったよ!」

「それは大変なのよ! はいこれ食べるのよ!」

「おふっ!? ふぃは、ふぇはひ!」

「それは、氷なのよ! 溶けにくい氷を創ったから、しばらくお口の中を冷やせるのよ!」

「うー……やへほはほう、はいひょうふはへほ、ひゃへへはい!」

「リリーが何を言っているのか、よく分からないのよー」

「うぁー! がぶーっ! バリバリ……」

「さすがリリー、顎が強いのよー」

「もぉぉ! お返しなんだから!」

「ちょっ! リリー!? 氷はいいけど、それ明らかに大きすぎ「問答無用ー!」むっひょぉぉ!?」



 トナカイの背中についているチャックの中で、食べ物をいつまでも美味しく保つことができるとわかってからは、各地で出会ったおいしい食べ物を保存するようになった二人であった。

 


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