勇者ごっこ
「ふははー、この世界の住民をトナカイにしてやるーのよー!」
「な、なんだって!」
「勇者リリーよー、その程度で魔王トナカイに勝とうなど片腹痛いわーなのよー」
「くっ……このままでは世界がトナカイで溢れてしまう! 魔王頑張って!」
「リリー、そこは『そんなことさせないっ!』ってかっこよく決める所なのよ!」
「あっ、つい本音が出ちゃった」
「リリーは見た目がトナカイならなんでもいいのねぇ」
「そ、そんなことないよ! トナカイが一番だよっ!」
「あんまり説得力がないのよー……まぁいいのよ。ふははー、我が直々に相手をしてやるのよー」
「世界の平和のために、負けられないんだっ!」
「ふははー、勇者リリーの力はそんなものかーなのよ!」
「くっ……魔王トナカイ、強い! こうなったら……助っ人を呼ばないと!」
「何人集まっても、変わらないのよー」
「カモン助っ人!」
「「……」」
「誰も現れないのよ」
「あれー? ちょっと待っててね」
「なんで私がこんな役目を……やっぱり帰ろ「知らなかったの?リリーからは逃げられないって」っひゃぁ!?」
「ほら、出番が来たんだから早く来てよ」
「な、なんで私がこんな恥ずかしい格好で芝居をしないといけないのよ!」
「大丈夫、ギリギリだから」
「何よそのギリギリって!」
「見た目の年齢的に、まだ露出の高い装備もいけるはず」
「誰が年増ですって!? 見た目なんか簡単に変えられるんだから!」
「おー、私と同じくらいの大きさになったね」
「ふふん、私にかかればこのくらい簡単よ!」
「すごいね。じゃあ出番きてるから早くきてね」
「わかったわ! ……えっ」
「お、来たのよー。アクアの服、所々が開いてるのよ」
「何で初めて見たような感想なのよ! この装備を用意したの、貴方たちじゃない!」
「デザインはリリーなのよー。トナカイ、ノータッチなのよー」
「ちなみにアクアの装備のコンセプトは、『エロ精霊魔法使いアクア』だよ。小さくなったから『エロ少女精霊魔法使いアクアちゃん』になっちゃったけど」
「なっ!? エロ精霊って呼び方まだ引きずってるの!? あとコンセプトが、訳分からないことになってるじゃないの!」
「リリーのセンスは凄いのよ」
「そして、私の装備のコンセプトは『ドラゴン勇者リリー』だよ」
「何で私と露出度が雲泥の差なの!」
「ほら、勇者だから……ねっ?」
「ねっ? じゃないわよ!」
「露出度はともかく、二人とも似合っているのよー」
「褒められているのにあまり嬉しくないわね……」
「それじゃ、さっきの続きね」
「ふははー、勇者リリーの力はそんなものかなのよー」
「くっ……こうなったら、助っ人を呼ぶよ!」
「何人来ても以下略なのよー」
「カモン助っ人!」
「……助っ人、登場」
「もっと堂々と振る舞うのよ!」
「今更恥ずかしがってもしょうがないよ!」
「あぁぁもう! 分かったわよ! 助っ人魔法使いアクア参上ぉぉお!」
「ふははー、何人集まっても魔王には勝てないのよー」
「二人の力を合わせて、魔王を倒すよ!」
「わかったわ」
「くらえ全力! ドラゴン……ブレスっ! ギャウゥゥ!」
「はあっ!? ちょっと、リリーがドラゴンに変身したのだけど!」
「リリーはドラゴンだから、ドラゴンに変身するのも当然なのよー」
「な、何ですって……だから腕力がおかしい上にブレスまで吐けるのね」
「この前戦ってた時に気づかなかったのが不思議なのよ……そんな事よりリリーがブレスを吐こうとしてるのよ! こんなのが街に当たったら、魔王トナカイに支配される前に、人間が居なくなっちゃうのよ!」
「スゥ……ギャウッ!」
「トナカイ必殺、ブレスそらしなのよ!」
「魔力でブレスの軌道を上空にそらした!? おかしいでしょ!」
「ギャウッ! ……もう、解説してないでアクアも戦ってよ! 本気でいかないと負けるよ!」
「えっ……これ、演技よね? ねぇ「危なーい!」!? 何でリリーがこっちに攻撃するのよ!」
「乱戦時は、特に周りをよく見ておかないといけない。戦闘の基本だよ?」
「いやだから、これ演技じゃないの!?」
「アクア、悲しいけど、これ最終決戦なのよねぇ」
「……もう、分かったわよ! 怪我しても知らないんだから!」
「「……」」
「くっ……魔王トナカイ、強い」
「このままじゃ、長引かせるだけこちらが不利よ!」
「ふははー、二人の力はそんなものかーなのよー」
「ここは力を合わせるしかない!」
「分かったわ!」
「タイミングを合わせてねっ……ギャウッ!」
「任せなさいっ! はぁぁ……」
「リリー、全力のブレスは隙が多いのよ……なんとっ」
「私は水だけじゃなく氷の魔法も扱えるのよ!」
「動きが制限されてブレスをそらせな……むひょー!?」
「……やったか!」
「見事だったのよー……魔王トナカイが力尽きても、いずれ第二第三の魔王が現れるのよー……がくっ」
「「勝ったー!」」
「やったよアクア、ついに魔王トナカイを倒したよ!」
「えぇ、私たちの連携で勝利を掴んだわねっ!」
「というわけで第二の魔王トナカイ参上なのよー」
「「復活早すぎ!?」」
倒しても倒しても起き上がる魔王トナカイに、果敢に立ち向かうドラゴン勇者リリーとエロ少女精霊魔法使いアクアちゃん。
この戦いは数日続いたという。




