トナカイと流れるプール
「リリー、トナカイのおててを離すのよぉ……」
「トナカイを見捨てるなんて出来ないよっ!」
「このままだと、リリーまで流されてしまうのよぉ……リリーだけでも生き残るの、よぉ」
「あっ、トナカイ自ら私の手を離してっ……トナカイぃぃ!」
「そこの二人ー! 流れるプールではしゃぎ過ぎだぞ! 他の人に迷惑じゃないか!」
「ごめんなさーい」
「すまなかったのよー。とりあえずここまでの回想スタートなのよ!」
「この施設は、プールっていう娯楽施設らしいよ」
「そうなんねぇ。この地方は暑いから、水に入って涼むのねぇ」
「そうみたい。せっかくだから入ってみようよ!」
「わかったのよー!」
「みんな際どい水着で泳いでるよ……恥ずかしくないのかな? 私もあんな格好を……?」
「リリー、この施設は水着を着ないと入れないらしいのよ! というわけでリリー用に用意したのよ!」
「ありがとうトナカ……なにこれ?」
「トナカイ印の水着なのよ!」
「これ、要所が貝殻なんだけど……」
「そこにいる人間の水着を参考にしたのよ!」
「うわぁ……ほんとに貝殻つけてるね。胸とかすごく大きい……」
「ささ、リリーも早く着替えるの「いくら何でも着れないよこれは!」そうなん? そんじゃ普通のを渡すのよ」
「最初から普通のを渡してよ! でも、トナカイがどうしてもって言うなら頑張って着ても……」
「最後の方があんまり聞き取れなかったのよ? ささ、早く着替えて遊ぶのよー!」
「わかった」
「……トナカイからもらった水着を着ようとしたら、首輪が反応して同じ形の水着姿にしてくれた」
「そういえばリリーの服は変身の首輪が頑張ってたのを、忘れてたのよ! そんじゃ行くのよー!」
「ちょーっと待った!」
「どしたんリリー、おなかすいたん?」
「ご飯はさっき食べたでしょ! そうじゃなくて、何でトナカイが貝殻の水着を……」
「せっかく創ったから、着てみたのよ!」
「そ、そうなんだ。トナカイは水着とか無くても大丈夫だと思うから、脱ごうか」
「むひょー、リリーがトナカイを脱がしにかかってきたのよ!」
「ちょ、ちょっとトナカイ、人聞きが悪いよ!」
「このプールは、水が流れるように出来ているみたい」
「ほんとねぇ。人がどんどん流されているのよー」
「うん、そうだね。ただ……」
『史上初! 超速流れるプール』
「「流れ、早すぎ!?」」
「あっ、足が滑ったのよ……むひょー!?」
「トナカイが流されるっ! 私の手につかまって!」
「はい、回想終わりーなのよ!」
「プールって、楽しいね」
「うむ、次はあの『ほぼ垂直ウォータースライダー』ってやつに乗るのよ!」
「あれ、乗るって表現合ってるの? どう見ても、落ちてるようにしか見えないよ」
「あっ、あの人お腹から着水したのよ。多分めっちゃ痛かったと思うのよぉ」
「トナカイが落ちてくるのを、ここで見てるね?」
「うむ、トナカイの華麗な着地を見せてあげるのよ!」
「トナカイ、着地って、どこに落ちるつもりなの……行っちゃった」
「むっひょー!?」
「うわぁ……トナカイ勢いつけすぎて、プールの水がある場所超えちゃった。あのまま落ちて行けば確かに着地だね」
「まだトナカイのターンは終わってないのよ! トナカイ特製パラシュート!」
「おおっ! トナカイが何か布のようなものを取り出して広げた!」
「おふぅっ!?」
「……もう少し高さがあったら、結果が変わっていたかもしれないね」
「なかなかスリルがあって面白かったのよ!」
「本来の遊び方と違ってたけど、トナカイが面白かったなら別にいいよね」
「うむ! そんじゃそろそろ行くのよー」
「わかった」
十分に楽しんで、プールを後にしたトナカイとリリー。
水着姿から着替えるのを忘れて、そのまま町に入り恥ずかしい思いをするリリーであった。




