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リリーの料理レッスン その五

「と、トナカイっ! どうしてそんなことを……」

「どうするもなにも、こうしないといけないのよ」

「やめてっ! 私が育てた卵が!」

「このままではだめなのよ」

「あぁっ! 卵が、潰れちゃった……」

「んー、もう少しやるのよ」

「私の卵が……どんどん、潰れて……」

「悲しいけど、こうしないといけなかったのよぉ」



「リリー、さっきからちょっと表現がおかしい気がするのよ!」

「頑張って茹でたのに……トナカイひどい!」

「今回はゆで卵じゃなくて、玉子サンドを作るって最初に言ったのよぉ。卵を潰さないと、パンでゆで卵を包んだだけっていう新しいお料理になっちゃうのよ」

「そうだけど……」

「しょうがない子なのよー。はい、一個だけ潰さず残しといたのよー」

「! わーい、ありがとうトナカイ!」

「うむ、リリーはゆで卵が好きなのねぇ」

「うん! もぐもぐ……おいしい!」

「それじゃ今日も、リリーのお料理レッスン、始まるのよ!」

「おーっ!」



「今回はお魚をさばくのよー」

「大きい魚だね。頑張る!」

「まず、お魚の鱗とかヒレを取るのよー」

「ふむふむ、鱗をゴリゴリってしたらいいんだね」

「そうなのよー。ゴリゴーリなのよー」

「えいっ! ……あっ」

「リリー、これはお魚のすり身を作る練習じゃないのよー」

「ちょっと、力を入れすぎた……かな?」

「次は頑張るのよー」

「よいしょ……こんな感じ?」

「おー、いい感じでできてるのよー。次は頭を落として、内臓を取り出すのよー。頭ちょんぱしてー、おなかを開いてー、よっと」

「おぉ……魚の中身が……」

「はい、リリーもやってみるのよー」

「うん! えいっ、死ぬがよい!」

「そのお魚、すでに死んでるのよ」

「なんとなく勢いで……」

「とにかく、よくできたのよー。それじゃ次は三枚におろすのよー」

「ここから包丁を入れてー、さっとしてよっとしてはいっ!」

「えーっと、ここから……あっ」

「それだと二枚おろしなのよー。骨が綺麗に真っ二つなのよ。これはこれで凄いのよー」

「えへへ……ってあんまり嬉しくないね」

「まだまだお魚はたくさんあるのよー! 頑張るのよー」

「うん!」



「「……」」

「さ、最初の成功は一体なんだったの……」

「大丈夫なのよ! まだすり身にした数は一桁なのよ!」

「ギリギリ一桁だよね……」

「落ち着いてやるのよー」

「うん。すぅ、はぁ……いきます! ゴリってして、ちょんぱして、ぱかってして……」

「いい調子なのよ!」

「さっとしてよっとして、はいっ!」

「「……」」

「「やったー!」」

「できたよトナカイ! これで魚も料理できるようになったよ!」

「うむ、よく頑張ったのよリリー!」

「これから毎日、お魚をさばいてあげるね!」

「ふふっ、リリーは気が早いのよー。これから焼いたり揚げたりしないと、お刺身ばっかりになってしまうのよー」

「そっか、そうだよね! 頑張って焼くね!」

「一緒に頑張るのよー。とりあえずこのいっぱいのすり身をなんとかするのよ!」



 この後、トナカイが魚のすり身を使って作った料理をリリーが気に入り、さばくより潰す方が多くなるのであった。

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