トナカイと謎の板
「今日もいいことありそうなーのよー……およ? 何か落ちてるのよ」
「これは……でっかい板なのよ! 少し丸みがあって盾っぽいけど、持つところがないのよ」
「これ、よく見たら魔力がこもってるのよ。これは……リリー?」
「呼んだ?」
「あっリリー、この板に見覚えないのん?」
「んー、何これ?」
「これねー、なんかリリーっぽい魔力が感じられる板なのよ!」
「そうなんだ。身に覚えがないなぁ」
「そうなんねぇ」
「せっかくだから色々調べてみようよ」
「うむ! 分からないことは、調べるのよ!」
「という訳で、急遽研究所っぽい施設を用意したのよ!」
「正直ここまでする必要はないと思うけど、トナカイだもんね」
「まずはー、よく観察するのよ!」
「んー、よく見たらなんだか層状になってる気がするね?」
「うむ、そんで、とっても硬いのよ!」
「盾に加工できそうだね」
「そんじゃ、次は耐久度のテストなのよ!」
「さっきの施設、もう出番ないの?」
「さすがに施設内じゃ、耐久度のテストはできないのよ」
「うーん……まぁいっか。それじゃ、早速叩いてみるね?」
「うむ、ここでトナカイが持ってるから、思いっきりやってもいいのよー」
「……トナカイ、私の全力を受け止めて見せるって言ったね! それは私と勝負するってことだね!」
「いやトナカイそこまて言って「とりゃーっ!」たまにリリーは話を聞かないのよぉうふっ!?」
「……やったか!」
「トナカイ仕留めてどうするのよ……とりあえずトナカイは土まみれなのよ!」
「あっ……つい、やっちゃった。てへっ」
「かわいく言ってもだめなのよ! 後で反省のポーズ一時間なのよ!」
「そ、そんなことよりさっきの板は」
「さすがに耐えきれて……るのよ! この板、すごいのよ!」
「うん、凄いんだけど……なんだか複雑。自信無くすなぁ」
「そんじゃ試しにそこの岩を叩いてみるのよ」
「うん、消し飛べーっ!」
「ギャァァアア!?」
「「……」」
「な、なんか声聞こえなかった?」
「き、気のせいなのよ! いやーそれにしても、この板はすごいのよー。次のテストをしにいくのよー!」
「あっ、待ってー! 私も逃げ……じゃなかった、私も行くー!」
「そんじゃ、最後のテストなのよ!」
「一通りテストしたような気がしないでもないけど、まだ何かあるの?」
「うむ! それは、魔力を流す調査なのよ!」
「魔力を通すの? この前の診察みたいに?」
「うむ、魔力を通して性質とか調べるのよ! どれどれー? ふむふむ、ほほーっ!」
「気になる! 気になるよトナカイ!」
「分かったのよ!」
「この板の正体が?」
「うむ! この板の正体は……」
「ごくり……正体は?」
「リリーの鱗なのよ」
「……えっ?」
「ちょっとドラゴン化してみてほしいのよ?」
「うん……」
「ギャウ!」
「さすがリリー、一瞬で変身できてるのよー。えーっと、剥がれそうな鱗はー? これなのよ!」
「ギャウッ!? ガブッ!」
「おうふっ!? すまなかったのよー、もうしないから噛み付くのはやめて欲しいのよー」
「ギャウッ! ギャゥギャウッ!」
「残念ながらドラゴン語はわからないのよー」
「……もうっ! 剥がれそうだったとはいえ、急に剥がされるとびっくりするんだからねっ!」
「後でいっぱいもふもふさせてあげるから、許してほしいのよー」
「……あとさっきの反省ポーズ、なしね」
「仕方がないのよー。ほら、これがリリーの鱗なのよ」
「ほんとだ。同じ形だね」
「つまり、リリーは自分の全力攻撃にも耐えられる鱗で、守られているってことなのよ!」
「なるほど! なんだか自信出てきた!」
「むふー、よかったのよー」
自分の鱗がとても頑丈だと証明されて、上機嫌なリリーであった。
ちなみに岩を消しとばした時の叫び声は、大昔に、岩に封印された悪霊のものだったが、そんなことをトナカイたちが知る由もなかった。




