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リリーの料理レッスン その四

「と、トナカイ……熱いよぅ」

「ふふっ。リリー、やめてもいいのよ?」

「……トナカイのいじわる。まだ続けるんだもん」

「分かったのよ。もっとふんわりと、慈しむように扱う……のよ?」

「うん……こ、こう?」

「ん、なかなか良いのよ」

「えへへ……もっと褒めてもらえるように、頑張るね」

「うむ、リリーは頑張り屋さんなのよぉ」



「おにぎりは、熱いうちにふんわり握るのよー」

「これ、ご飯熱すぎない? 火傷しないの?」

「大丈夫なのよー。そのうち慣れるのよ! さっきも言ったけど、もし無理そうなら、また今度頑張ってもいいのよ?」

「今、頑張る!」

「「……」」

「「できたー!」」

「やったよトナカイ、おにぎりができたよ!」

「そうねぇ。前衛的な形なのはともかく、よく頑張ったのよ!」

「えへへ……これから毎日トナカイにおにぎり作ってあげるね!」

「ふふっ、リリーは気が早いのよー。次はご飯の炊き方を覚えないといけないのよー」

「えへへ、そういえばそうだね。頑張ってご飯の炊き方、覚えるね!」

「うむ、トナカイと一緒に、頑張るのよー」



「さ、今日はご飯を炊くのよ!」

「うん!」

「まず、お米を洗うのよー」

「うん、綺麗にするんだね!」

「うむ、ちなみに洗うといっても、洗剤は使わないのよー」

「も、もちろん分かっていましたとも!」

「……リリー、右手あーげてー」

「はいっ!」

「左手あーげてー」

「はいっ! ほら、何も持ってないでしょ?」

「うむ。リリーってね、両手をあげたらついしっぽも一緒に上げちゃう癖があるのよ」

「……あっ!?」

「別に間違ってもいいのよ。覚えて次に活かせばいいだけなのよー」

「うん。分かった!」

「次はー、お鍋にお米とお水を入れるのよー」

「はいっ!」

「うむ、上手にできたのよー」

「えへへ」

「ここからが重要なのよ! しばらく置いてから火にかけるのよ!」

「ごくり……」

「こんな感じで火にかけてー、いい感じになったらこうしてー、ああしてこうしてー、はいっ! できたのよー」

「おー、ご飯だけなのに美味しそう!」

「むふー、それじゃ、やってみるのよー」

「はいっ! 火にかけて、いい感じになったら…….こうして、ああして、はいっ!」

「おぉ! 珍しく一回で出来たのよ!」

「奇跡だよ! トナカイ奇跡が起きたよ!」

「リリーの努力がついに、身を結んだのねぇ」

「これで、トナカイに毎日おにぎりを作ってあげられるよ!」

「むふー、楽しみねぇ」



 こうしてご飯を炊くことを覚えたリリーは、トナカイに毎日おにぎりを作ってあげたそうな。

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