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トナカイとリリーの模擬戦

「今日は久しぶりに模擬戦をするのよー」

「うん。今日こそはトナカイに勝つよ!」

「むふー、リリーがトナカイに勝てたら、何でもお願いを聞いてあげるのよー」

「!? 今日は負けられない!」

「あ、でももしリリーが勝てなかったら、一日トナカイのおもちゃね?」

「えぇっ!? トナカイのおもちゃ……えぇっ」

「リリーがまた変な想像をしてる気がするのよ。一日トナカイの遊びに付き合うってことなのよ?」

「なっ!? 変な想像してないもん! 分かってたもん!」

「それならいいのよー。それじゃ、いつでもいいのよー」

「トナカイ覚悟! やぁっ!」

「宣言してから来られても当たってあげないのよー。ほい、足元がお留守なのよー?」

「ふぎゃっ! むーっ、まだまだぁ!」

「リリーは、力が強いんけど、何をしたいのか、分かり易すぎる、のよーっと、はい足留守よー」

「あうっ! ま、まだ本気を出してないだけだもん!」

「そういうことにしておいてあげるのよー」

「これで、どうだーっ!」

「!? 半ドラゴン化はずるいのよー」

「ずるいとか! いう割に! 全然当たらない!」

「むふー、トナカイはお空を飛べないのよー」

「なるほど! 縦の動きも戦いに組み込んだらいいんだねっ!」

「おぉっ! だいぶ避けるのがっ、難しく……なったのよーっ」

「そのまま、私の攻撃をっ! 受けたらいいと思うよっ! やぁっ!」

「おっとー、ばらんすがくずれたのよー」

「そこだっ!」

「なーんちゃってーなのよー。ほいっ」

「あうっ! トナカイが騙した! ずるい!」

「悲しいけどこれ、模擬戦なのよねぇ」

「トナカイがその気なら、こっちだってー!」

「なんとっ! お空から魔法とかずるいのよ!」

「ふふふー! これ戦いだもーん! そういう戦略なんだもーん」

「それじゃトナカイも棒を使うのよー!」

「あっ、トナカイが大人げない! 大人げないよトナカイ!」

「さすがに素手で魔法をさばくのは辛いのよ!」

「ぴゃぁぁ!? その棒どこまで伸びるのっ! あいたーっ!?」

「もちろんリリーに当たるまでなのよー」

「ぐぬぬ……本気の本気、出しちゃうんだからぁぁ!」

「ちょっ!? 元の姿に戻るのはさすがにやりすぎっ! しっぽを振り回したら周りが……おっとー!?」

「ギャウゥ!」

「大きさの差がありすぎてっ! 避けるのがっ! 辛いの、よぉぉ!?」

「ギャウッ!」

「そんならトナカイも奥の手なのよー!」

「!? ギャウッ! ギャウウッ!」

「なんとなく『トナカイ! 創造の力は反則!』って言ってる気がするのよ! これ、ただ体に魔力を込めて大きくなっただけなのよー。 創造の力じゃないのよー」

「グルル……ギャゥ! スゥゥ……」

「!? リリーそれはアカンやつなの、よぉぉ!」



 リリーが放った全力のブレスは、トナカイにより軌道を逸らされて天に向かってまっすぐ伸びていった。

 その日、不思議なポーズをとって静止している巨大なドラゴンの姿が目撃されたそうな。


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