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異世界を無限のスキルで生き延びる。  作者: 巫女崎
異世界召喚編
9/48

09.ギルドマスター


 ギルドに入るとなぜか周りから奇異の目で見られた。

 せっかくなので俺はここで《心眼》を3メートルで使うことにした。


(あれがハンターベアを狩ったFランクかよ)

(珍しい服だから間違いなくあいつだな)

(あいつ本当にFランクか?)

(なんだ、どんな奴かと思ったらガキかよ)

(今日のカウンターがエリカちゃんじゃないとかふざけんな)


 最後だけ全く違う話だった。

 それにしてもハンターベアってそこまで強いのか?初心者には無理だろうけど中級者なら数あれば行けそうだけど。


 俺がカウンターに行くと今朝?の女性が担当していた。相変わらず視線が鋭い...。


「シンジ君、ギルドマスターがお呼びです。こちらへどうぞ」

「ギルドマスターが、ですか。分かりました」


 俺は女性の後ろに続き、応接室らしき部屋に案内される。

 言われた場所に座って出されたお茶をしばらく(すす)っていると入ってきた扉から一人の男性が入ってきた。

 男性は俺の反対側にある椅子に座る。


「初めまして、シンジ君。私はここのギルドマスター、ヨルドだ。もともとはBランクの冒険者で今も時々冒険者家業をしている」

「初めまして、ギルドマスターさん」

「一つ聞くが、君はなぜここに呼び出されたか理解しているかい?」

「...ハンターベアについて、ですか」

「そうだ。ハンターベアとは本来Bランクの魔物なのだが、今回君が持ってきたのはギルドで問題視されているAランクのハンターベアだったんだ」

「そうなんですか」

「それでなんだが...君が一体どうやってハンターベアを狩ったのか教えてくれるかい」


 ヨルドはどうやら俺がハンターベアを狩ったという事実に半信半疑のようだ。

 まあ確かに俺が熟練の老師だったり巨漢だったりしたなら信用されたんだろうな。

 これが分かるのも《心眼》のおかげである。


 俺はヨルドに森の中での出来事に嘘を交えて話す。

 ヨルドも話を聞いているうちに納得したみたいな顔をしているし心置きなく買い取り金が受け取れる。

 だがヨルドは俺をここから返すつもりはないようだ。


「確かシンジ君は昨日の、それも深夜に冒険者登録をしたんだったね」

「その通りですが、それが何か」

「君の服装といい、戦闘センスといい、どこかで棍術や拳術を教わっていたのかい?」

「いいえ、私は誰かを師と思ったことはありません」


 ヨルドが答えを返そうとしたところで部屋に女性が入ってきた。

 カウンターの女性と同じ服なのでおそらくギルドの職員なのだろう。

 彼女はヨルドの耳に小さく何かをつぶやくと一枚の資料を渡して部屋を出て行った。


 ヨルドは驚いた風にその資料を見ると何かを決めたように俺の方を向いた。

 《心眼》で俺のステータスを知ったことがバレバレです。

 それにしてもあの冒険者の中に《情報視認》持ちの職員がいたのか。全く気が付かなかった。


「シンジ君、もし君が良ければうちのギルドと専属契約しないかい」


 冒険者ギルドに専属契約なんてあったのか。


<専属契約した冒険者はその地以外で依頼を受けることが禁止され、討伐依頼、緊急依頼への参加が義務付けられますがメリットとして依頼達成時に本来よりもかなり多くお金を受け取ることが出来ます>


 数の多いデメリットに対して質の高いメリットってわけか。

 でも残念なことに今の第一目標が魔王討伐だからここで専属契約すると道中でお金稼ぎができなくなるんだよね。

 もちろん断る理由が魔王を討伐しに行くからってのはダメだと思う。


「すみませんが遠慮させていただきます。用事もないのにこの街に留まるつもりもありませんし」

「そうなのか。だったら——」


 あー、めんどくさいけどこれもテンプレかなー。


「——今ここで私と決闘をしないか」


 ...うん、いやだ。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






 あのあとヨルドからお互いの賭けるものを決めさせられ、1時間後にギルド近くの闘技場を借りて戦うことになった。

 向こうは俺との専属契約、俺は強力な武器の提供をしてもらうことにした。


 俺は今決闘場の入り口前にいる。

 まだ1時間立っていないというのに観客席からは1万人はいそうな大勢の声が聞こえてきた。


<主、戦闘をする前にこちらでギルドマスターのステータスを確認しておきました>

「悪い、教えてくれるか」

<はい、彼の基本スキルは《剣士Lv.5》、近接戦闘はお勧めしません>

「ステータスの方は」

<HP568、MP319、攻撃力183、守備力132、素早さ166、魔法力35、運72です>

「ステータスはほとんど向こうが上か。これは《喰らう者(イビル)》使った方がいいかな」

<この程度のステータスなら誤差でしょう。それよりは魔法スキルを覚えて戦えばいいかと>

「魔法スキルか。魔法力110に期待だな」


 しばらくするとアナウンスの声が聞こえてきた。


『さあ、今日は予定外の決闘ですが観客はボルテージが上がっております!ですがそれも無理ありません!今回の参加者は剣聖アルナハ様の弟子でありAランク冒険者でもあります現ギルドマスター、ヨルド=ミラクリ!対してこちらはAランクのハンターベアを単独で倒したとされる天才武闘家、Fランク冒険者のシンジ!』


 俺が天才武闘家?さっき片手剣の貸し出しを受けたんだけど。

 観客席からはFランクに対するブーイングが聞こえてくる。耳だけでもうるさいから《心眼》は閉じておくか。


『まずはヨルド=ミラクリの登場です!』


 その瞬間観客のボルテージがマックスになった。(聞こえた限りは)

 俺が出たらこのボルテージが半分は下がるが、まあそこはしょうがないだろう。


『続いてシンジの登場です!』


 俺が呼ばれた。

 面倒だけど新しい武器の為に頑張りますか。


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