46.獣大陸武闘会本戦一日目
『さて、第一試合はリワール獣国の騎士団団長であり、獣王リグレスの懐刀、ヘイスぅぅぅぅっ!!!』
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」」」」」
『対するは、拳のみで予選参加者を屠った猛者、クラバ=ヤマトぉぉぉぉっ!!!』
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」」」」」
「「うるさい。そして暑苦しい」」
俺と王女様の声がハモった瞬間だった。
『では第一試合、始め!!』
最初に踏み出したのは大和、《武闘家》スキルの〈縮地〉で一瞬にして間合いを詰めるとそのままの勢いで拳を振りぬく。が、それをヘイスは片方の大剣でいなすとそのまま大和のみぞおちにカウンターを決める。
さすがの大和もカウンターには対応し切れなかったか、多少身体を逸らしたもののほぼ完璧にみぞおちに受けてしまい数メートル吹き飛ばされた。
「……おかしいな、アレくらいであれば大和なら避けれるはずなんだけど」
「だけど実際には受けてるし、ホームとアウェーの違いじゃないの?」
「そんなはずは無い……と思う。けど、さすがに大剣を両手持ちして戦うやつは初めてだし、どうなんだろ」
俺はなんとなくで【情報眼】を使ってみることにした。
だが大和が状態異常にかかっているという事も無ければヘイスが何か魔法を使っているという事も無い。やはりホームとアウェーの違いなのだろうか。
と思ったら、少し面白いことが分かった。
聖剣アルカディア(第二世代):
その剣は使用者の力に応じて空間を操る事ができる。
また、剣としての能力も申し分なく、真っ向から打ち合ったとしてもオリハルコン程度の素材であれば刃こぼれする事はない。
一方で魔剣との相性は悪く、短時間の戦闘でも損傷が激しいものとなる。
魔剣オルグール(第三世代):
破壊に特化した魔剣。
刃こぼれしづらく、打ち合えば普通以上に相手の武器の耐久を削る事になるだろう。
聖剣との相性もよく、過去の聖魔大戦時に大きな被害を出した原因の一端である。
二つとも普通の武器とは一線を期す武器のようだ。
<私ならあんなものどうってこと無い>
グリモアはアレに勝てると堂々の宣言。まあ、初代だしねぇ。
だけど空間かぁ、確かにそういうのなんて誰も覚えてない……と思ったけど、そういえばヨルドとの戦いで〈空間振動〉使ったわ。(11話参照)
《闇魔法》だけど。《空間魔法》とか存在するのかな。あったら後で創ってみよ。
それにしても大和はどうやら聖剣アルカディアの空間支配能力に手こずっているらしい。今もなかなかヘイスに一撃を加える事が出来ていない。
対してヘイスはタイミングよくカウンターを決めているため確実に大和のHPを削っている。見た目以上に減少量が少ない事を考えると手加減しているのか、それとも実践の中で大和を指導しているのか。
「まあどっちにしろ大和が勝てる確率はほぼゼロか」
コレは後で大和用の特別メニューを組んであげたほうがいいか。
本当ならあと一月は特訓に費やしたかったけど、なにせ日程がたった一週間しかなかったからな。仕方無い。
「残念だけど彼が勝てる確率はゼロね」
「そうだな。俺もそう思う」
大和のHPが四割を切ったところで大和は空間支配能力に慣れてきた。正しく言えば、攻撃がかわせる様になって来たのだ。
とはいえ、まだ攻撃を当てるには至っていない。あのペースだと攻撃を当てるより先にHPが切れそうだ。
『試合しゅーりょー!!やはり壁は高かった!!勝者、ヘイスぅぅぅぅっ!!』
結局、大和がヘイスに攻撃を当てる事は無く、試合はHPが一割を切ってすぐにヘイスが大和を気絶させて終了した。
他の試合は、横田さんが泉君をぼっこぼこに痛めつけたり、横振りの下上君と縦振りの日野君が振った剣が何度もいいかんじに打ち合ったりした。
マリオさんは大振りの鎌を振り回して相手を峰打ちにしていた。
その結果。
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ヘイス × マルチ=コード
ヨコタ=カレン × シモカミ=ユウヤ
ミリーユ × ミカワ=リク
ルモイ=カナ × マリオ=フォレストウォール
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大和、泉君、日野君が本戦一回戦負け。
横田さん、下上君、三河君、留萌さんが明日二回戦で試合が有る。
「やっぱりあの時〈聖城斬〉じゃなくて〈一閃突き〉の方が良かったかな」
「今日の反省点は斧を少し大振りに振ったことですかね。あそこはもう少し士からを抜けばもっと楽にあの盾を破壊できたかも知れないですね」
「明日はホーリーウッドの杖じゃなくて合成樹でできた棍棒の方がいいかな」
でもだからって毎夜に俺と大和の部屋に集まるのはやめて欲しい。
おかげでおとなしく明日の観戦に備えて眠れないじゃないか。人間を止めたくない(半分神だけど)から《不眠》のスキルは取ってないんだよ。
「じゃあ今日はそろそろお開きにするか。解散」
日野君のその言葉でそれぞれが部屋を出て行こうとする。
だが俺には一応やらなければならない事がある。
「日野君」
「あ、何?」
「君、魔王城帰ったら罰ゲームね」
「……」
よし、これで今日も安心して眠れそうだ。




