43.可能性
「……はぁ」
「いや、ほんとすまなかった」
大和はベッドに腰掛ける俺の目の前で正座をしていた。
理由は単純。
王女様を助けただけならともかく、あの後王女様に迫られるがまま宿に取った部屋にお持ち帰りしてきたからだ。
事情については本人から宿に持ち帰ったときに聞いた。(その前に盗み聞きしたが)
「それで?なぜ俺が彼女に戦闘を教えなきゃならないんだ?」
「そりゃたった一週間で俺たちが強くなったのが柳のおかげだから」
「アレはあくまでお前たちに戦闘に対する才能や勘がすぐれていたからだ。実際にお前の持っているスキルが証明している。だけど彼女は違う。そこにいる王女様は戦闘には向いていない。諦めろ」
「ちょっと待ちなさいよ」
すると大和の隣で椅子に座っていた王女様が口を挟んだ。
「何」
「才能や勘って、何でもかんでもそんな不確定なもので決めないで頂戴!私はなんとしてでも強くならないといけないの!分かる!?」
「いや、分かるわけないだろ。お前の思い出話なんて一度も聞いたこと無いんだから」
そういわれては王女も口をつぐむしかない。
「それにスキルはそのものの才能や努力の絶対的な証明になる。実際に剣術が上手い奴は比例してスキルのレベルも高い。いくら剣を振ったところでそこから成長できない奴は何年やったところでスキルのレベルが上がらないからな」
俺の〈剣士LV10〉も今の効率化された剣の扱いがあって初めて成立するものだ。
実際に適当に剣を振っていれば〈剣士〉の効果は発揮されないため、グリモアを全力で振るときは常に効率よく剣を振るわなければならない。
名前:レミア=クレイニー
種族:人
年齢:14
LV:8
状態異常:
基本スキル:《護身術LV.1》
エクストラスキル:《可能性予知》
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HP:34/65
MP:22/22
攻撃力:43
守備力:31
素早さ:16
魔法力:27
運:100
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正直、彼女のステータスは戦闘向きじゃない。
レベルと比べてもステータスが低すぎるし、基本スキルも《護身術》では切り札に欠ける。
唯一のエクストラスキルである《可能性予知》だけはまだなんとも言えないが、こちらも戦闘狂である王女様には扱いきれないと思う。
彼女がそれでも強くなりたいと思うのならば、手段は二つある。
だが、どちらも死の危険性がある以上は安易に勧めるものではない。
「じゃあまず、最低限の事について話してもらおうか。
王女であるお前が今現在、獣大陸に居る理由。また、ここに来るまでの移動手段」
「……」
「別に無視を貫いても構わないが、その場合俺はお前の特訓について一切関知しない。一人で勝手にやってくれ。それとこの宿も出て行ってもらう。もしかしたら王女様だってのは嘘で、同情を誘って部屋に入れてもらってからモノを盗む盗人だと困るからな」
主に大和が。
だが以外にも声を上げたのは俺でも大和でも王女様でもない第三者だった。
詳しくは俺たちの扉の前で盗み聞きしていた男女三名。
「……取り合えず入って来い」
「「「はい」」」
三人が入ってくる。
全く、いったいいつの間に戻ってきたんだか。
三人を大和と同じく正座させる。
「さて、なぜ盗み聞きした、とは聞かない。どこから聞いてた」
三人は目を合わせる。
最初にしゃべったのは下上君だった。
「最初からだ」
「……」
無性に壁が殴りたくなった。
何故気が付かなかった俺。
「お前たち、武闘会四位以下だったら罰ゲームだから」
とりあえずそういっておくことにした。
「まあいいや。という事で彼女、お前たちがいた国の王女様」
「王女様?悪いが俺たちは彼女を着たことは無いぞ」
日野君はそう言う。
当然俺だって彼女を見た記憶は無い。
だが彼女がマリアの妹であるのは間違いない。
「そうだろうな。だから俺は彼女に聞いているんだ。
王女様の目的と移動手段を」
俺の中に誘拐された可能性は無い。
《透明化》のスキルを持っているなら別だが、そうでなければ自力で城を出るのは不可能だからだ。
ましてや誘拐など万に一つもありはしないだろう。
そこで俺はとある話を思い出した。
……まさかな。




