幕間 二度目の異世界召喚
いつものアラームの音で私は目を覚ます。
そのアラームを聞くたびに私は心が痛む。
一体あの兄はどこに消えてしまったのだろう。
事が起こったのは約二年前。兄がまだ学校にいる時間帯に家の電話が鳴った。
その日私はたまたま風邪をひいていたので家にいた。
電話の音に気付いた母が電話を取る。
最初は間違い電話か会社のセールスか、特に気にしていなかった。
だがその電話を聞いているうちに母の様子がおかしくなった。
最初は何かを確認するように「嘘」という言葉を何度も使っていたけれど、そのうち電話を切った母の目はいつもと何かが違った。
そのうち母は急いで出かける支度を済ませると私にいくつか注意だけして家を出て行った。
そのすぐ後にまた電話が鳴り今度は私が出た。
「もしもし、どちら様ですか」
『すみません、そちらは柳さんのお宅でよろしいでしょうか』
「はい。それで、どちら様ですか」
『……もしかして真一君の妹さんかい。先ほど真一君のお母さんがいたはずなんだけど』
「母は先ほどそちらに向かいましたけど」
『そうか、それは失礼した。では』
「それで先ほど母に何を吹き込んだのですか。あの母の慌てようは見たことがありません」
『……落ち着いて聞いてくれるかい。実は、真一君が今、行方不明なんだ。彼だけじゃない。今日登校していた彼のクラス全員が、だ』
それを聞いた瞬間私はすぐ電話を切って兄の通う高校に向かう支度をした。
学校に向かうとそこにはほかにも大の大人が集まっていた。多くは主婦だろうが、中には男の人も混ざっている。
母と目が合った。母がこちらに近づいて来る
「楓」
「ねえ、兄さんが行方不明ってどういうこと?」
「……分からないわ」
「兄さんって学校にいたんじゃなかったの?どうして行方不明になんてなっているの?」
「…………」
私は兄の教室に向かった。
中は鞄や上着など明らかに人のいた形跡があった。
「……兄さん」
兄の鞄が置いてある机には今さっきまでいたのではないかという生暖かさがあった。
周りを見渡すとほかにもまだ生暖かさの残ったものがある。
「……これは」
ふと、教室の角に何かが見えた。
近づくと、それはなにかがおかれているのではなく、薄く彫られていた。
それは円の形をしており、円の中にもまだ掘られた線が残っている。
ほかの隅にも全く同じものがあった。
私はそれをよく目に焼き付けて家に戻った。
それから帰ってきた弟と父にも兄が行方不明だと母が話した。
父は茫然とし、やけ酒を飲んでいたが、弟は少し驚いた表情はしたもののすぐいつものあどけない笑顔に戻った。
それから特に集団失踪についての情報は進展せず、二年たって私は高校二年生に上がった。
一時期は中学校も集団失踪の話で持ち切りだったのだが、私が高校に上がるころにはもう誰も関心を持っていなかった。
チャイムが鳴り、昼食休憩の時間になった。
私は家事ができないので基本的にできるものに頼りきりになっている。例えば、
「姉さん、またお弁当忘れて行ったでしょ。まったく、もっとしっかりしてよね」
弟は兄とは違い、華奢な体をしている。
兄は帰宅部だったらしいのだが、弟は料理部に所属しておりよくお弁当を作ってくれる。
そんな弟が教室に来れば当然。
「あーまた来たの優くん。ほら、お菓子お食べ」
「優くんかわいいなぁ。そんな優くんにはこのお菓子をあげよう」
「お菓子お菓子と、ならば私はこの卵焼きを!」
「えー!じゃあわたしイチゴあげるー!」
「では我からはこの魚をやろう。口を開けたまえ」
女子生徒にいじられること確定。
男子が混ざってる?私は知らない。
「ほら、弟君来たけど迎えに行かなくてもいいの?」
「……わかった。行ってくる」
そういって一歩を踏み出そうとした瞬間。
足元に、光る円が教室を埋め尽くした。
私はこの円を見たことがある。
「この円……兄さんの時の!」
その円が強く光り輝いたと同時、私は目をつぶった。
次に開いたとき、そこは教室ではなかった。
光る装飾を身に着けた人間が遠目に私たちを見つめている。
その中でも一番偉そうな男が前に出てきて私たちに告げた。
「よく来てくれた、勇者たちよ。君たちには魔王、そして寝返った先代勇者たちを倒してほしい」
次回の話が思いつかない……。
>精霊族に会う
>獣大陸に行く
>その他




