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異世界を無限のスキルで生き延びる。  作者: 巫女崎
精霊王国編
37/48

37.試練③

ブックマーク100越え!

ありがとうございます!




「む、また新しいお客さんかな?」


 筋肉オークが口を開く。


「初めまして、私は春川ビルディング社長の春川真造と申します」

「は、初めまして。柳です」

「柳君か。もしかして君は日本から来た転生者かな?実は私も転生して異世界に来たのですけどね、気が付いたらほら、オークでしょう。いつの間にかダンジョンマスターになっているし、特に私のお腹を見た時はかなり驚きましたね。死んだと思ったら私の鍛え抜かれた筋肉が脂肪の塊になっていたんですから」

「な、なるほど」


 それからしばらく俺は春川さんの話を聞いてばかりだった。

 転生して最初のころはダンジョンを拡張するのではなく、ただひたすらに脂肪を燃焼して筋肉をつけたこと。

 しばらくして同じ転生者に出会ったこと。

 そのあまりの話の長さに思わずあくびが出てしまったので俺は早めに話を切り上げて本題に入ることにした。


「すみません春川さん」

「いやいや、だから私のことは真造と呼んでくれ。同じ転生者だろう」

「まぁ、そう……ですね」


 俺が転移者であることは話していない。

 というか現在エルフで《再設定(キャラクターリメイク)》が使えないので俺が転移者であることが証明できなかった。(元男であることは話した)


「それでですね、俺の知り合いがこのダンジョンにいるモンスターに猛毒を受けてしまったんです」

「なるほど。それで私の庭園育てているなんかすごい薬草が欲しいという事か」

「話が早くて助かります」

「構わないぞ。私もプロテインを作ったりするから全ては無理だが、百束程度なら影響もない。というか逆に保存できないから廃棄せざるを得なかったしな」

「そうですか。助かります」


 そういって春川さんはついて来いと言って保管庫に案内してくれた。

 そこには確かに食料(半分は例の薬草)だったり運動器具などが保管されていた。


「なんか、すごいですね」

「そう思ってくれるのはありがたいが、やはり手作りではうまくできなくてな。元々器用ではないこともあってダンベル一つ完成させるのに一年かかってしまった」

「い、一年ですか……」


 さすがの筋肉への執念に俺も反応に困ってしまう。

 というかいったいどうやってその素材を調達したんだ。


「真造さん、その素材っていったいどうやって手に入れたんですか。ダンベルの鉄とか食事とか」

「ああ、先ほど言った転生者が何かの生き物を上に放ってからダンジョンが潤ってな。足りないものはサポーターが潤いを還元して地球産のものを持ち込んでくれるのだ」


 あの改造された変態どもは転生者のせいだったか。

 確かにこの世界の住人があんな女性に性欲を持つ生き物を迷宮に放つとは思えない。

 そんなことをしている暇があったら迷宮を攻略した方が早いからな。


 すると真造さんが見つけたようにそのサポーターと言う人を呼ぶ。

 その声に反応して俺の背後からぬっちゃぬっちゃといった粘液のような音がした。

 振り返るとそこには上の階層でよく見たスライムの姿が。


「ひっ。スライムっ」

「おっと、これはすまない。彼は私がここに転生して最初に出会った知り合いなんだ。決して悪さはしないから安心してくれ」



 スライムマネージャー:

 最弱であったスライムが他人を支えたい一心に努力に努力を重ね進化した姿。

 《体調管理(ボディサポート)》によって常に相手の体調面をチェックし、その日その日にあった特訓メニューを考えることがスライムマネージャーの本能である。

 戦闘面では《聖魔法》での回復や仲間の身体能力上昇が得意。



 確かにこのスライムは上にいたスライム(変態)とは別物のようだ。心配して損した。


「いやすみません。……そういえば真造さんは最近上の階層にったことはありますか?」

「最近か?あるぞ」

「その時に俺と同じエルフの女の子は見かけませんでした」

「見かけたぞ。ただその時にはその子は毒に侵されていてな、サポーターの治療では毒の進行を送ることが限界だったのだよ。なので入り口までは送ったのだが運悪く誰かいたみたいでな、そこからは自力で戻ってもらったのだ」


 確かにスライムマネージャーは俺よりは《聖魔法》のレベルが高いようだが、さすがに10ではなかった。

 そして真造さんも最低限ダンジョンマスターであるという自覚はあるらしい。


「実は俺がここに来たのはその子の毒を治すためなんです。そのためにはここで手に入るといわれている『神秘の薬草』が必要で」

「なるほど、分かった。サポーター、確か在庫処理前のなんかすごい薬草があったはずだ。それを持ってきてくれないか」


 するとスライムは成人男性の走りと同じくらいの速度で移動し、在庫処分前だったらしい薬草を持ってきてくれた。



 神秘の薬草:

 薬草の中でもっとも価値のある薬草。

 これを砕いて水に溶かし体に塗るだけでもその効果が窺える。下手な上級ポーションよりも効果が高い。

 また、錬金術で最高級のポーションを作るのにも欠かさず、霊薬やアムリタ、エリクサーなどの材料にもなる。

 現在価格、一束白金貨(金貨×1000)十枚



 どうやらこれは全て本物のようだ。

 これが全て在庫処分とかもったいな。これ軽く五百束はあるぞ。


「ほんとにこんな貰っていいんですか」

「ああ構わない。なんて言ったって同じ転生者なんだ、気にしないで持って行ってくれ」


 俺は真造さんにお礼を言うと階段を上って入り口に戻ろうとした。

 だがそこを真造さんに止められる。


「地上に帰るのならもっといいものがある」


 そういって真造さんは奥に案内してくれた。

 その途中で俺はとある部屋にあった女神の像が目についた。


「真造さん、あれは?」

「ああ、あれは私がここに来た時からあった石像だよ。だが私がここまで生き残れたのもあの石像のおかげかもしれないと思って毎日欠かさず祈っているんだよ」


 なるほど、これは宗教みたいなものだ。


「だったら俺も少し祈って行ってもいいですか」

「ああ、それなら逆に歓迎だよ。もし彼女が女神様なら祈ることは大事だからな」


 俺は神官とかが祈ってそうなポーズをとって祈りをささげる。

 すると次の瞬間俺は脳がかき混ぜられたような不快感に襲われ、そこでプツリと意識が途切れた。




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