35.試練①
麻の服を身に着け、腰に鉄の剣を携えたエルフの少女。
彼女は自分の姿を一瞥するとすぐに洞窟へと入っていった。
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「それは本当ですか勇者様!?」
マリオが顔を近づけてくる。
ってか顔近い。このイケメンが!
「ええ、まぁ。あった、と言えばあったんですけどね」
俺はその方法を考えると歯切れ悪く言葉を返してしまう。
「どうか!どうかミリアを!我が娘を助けてください!」
「……わかりました」
そういった瞬間、部屋にいたメイリッサが泣き出してしまった。
「よがっだ~ビリアだずがるんだ~」
なんというか、こういうところが年相応な反応なんだろうか。
俺の場合《喰らう者》のせいでパニックになったことがないからよくわからないけど。
「ですが俺が取りに行く代わりにいくつかお願いがあります。俺が神秘の薬草を取りに行く間グリモアを預かっていただけますか」
<マスター?>
「分かりました。それでミリアが助かるのであれば」
そういって俺はグリモアをフォレストウォール家に預けて宿へと戻った。
宿にたどり着いた俺はその方法をとるためにスキルを……スキルを……。
「……はぁ。やるしかないか」
……スキル…………創るか。
>エクストラスキル>非戦闘スキル>スキル名:再設定
【エクストラスキル《再設定》を入手しました。
名前、種族、性別、年齢を再設定することが出来ます。】
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エルフの少女は次々と魔物を切り伏せていく。
「……はぁ」
魔物の死体を着実に増やしながら俺はため息をついた。
本当であればこの方法は避けたかったのだが、他に何とかする手段を見つけることが出来ず今に至る。
性別を男から女へ、種族を人間からエルフへ変更したことで体つきが丸みを帯び(エルフなのに)、耳が少し伸びた。
服については付属品さん用に買ったものがいくつか余分にあったのでそれを着ている。少し胸がきついが、それを言ったら男としての何かが壊れてしまいそうなので口には出さない。
俺はさっさとラスボス倒してもとの姿に戻ろうと改めて本気で思った。
道を進むたびにナメクジや触手、スライムなどのエロ生物たちが道をふさぐ。
それも狙ってくるのは女性の恥部と来た。
『後天的になるにはとても危険な試練、それこそ挑戦者のほとんどが命を散らすような試練をやらなければいけません』
マリオさんのその言葉を思い出し思わず鳥肌が立った。
もしかして女性陣が戻ってこなかったのは命を散らしたんじゃなくて……。
いや、そんなことは無いはずだ!多分!
俺はその考えをできるだけしないように魔物を切ることに神経を集中させる。
今俺が使っているのは街で売っていたただの鉄の剣。
当然そんなものだけでこの試練を突破することはできない。
なので現在《剣術LV.10》を使って最低限の威力のみで切り殺しできるだけ折れないようにしている。
おそらくボス前には使えなくなってしまうだろうがその時はステータスでごり押ししよう。
さすが《精霊巫女》のためと言うべきか、試練内には一切魔力が存在していなかった。
自身の魔力を使おうにもエルフの体には魔力を扱うための器官が存在しないため使用できず、空間内に魔力が存在していないので《魔力操作》も役に立たなかった。
エルフはおそらく精霊を媒体にして魔力を使っているのだろう。
事実魔法が使えないと倒すのに苦労しそうな魔物を何体も見かけている。(そのたびに大幅な迂回をしている)
天然のエルフと違い【精霊眼】を持たない俺では精霊を媒体にすることが出来ないので魔法は全く使うことが出来ない。
一度試練中に《再設定》を使おうとしたのだが、種族と性別を変えることが出来なかったところを見ると本当にエルフの女性しか入れないんだなと実感した。
結論、ボス前まで辛い戦いは避ける。




