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異世界を無限のスキルで生き延びる。  作者: 巫女崎
精霊王国編
31/48

31.フォレストウォール王国


「ではお客さん、私はこれで失礼しますぜ」

「ああ、あんたも商売上手く頑張れよ」

「そりゃもちろんですわ」


 そうして俺と御者の魔族はそれぞれの目的の為に分かれて行った。



 森林大陸。その中でも比較的に差別が少ないとされるここ、フォレストウォール王国では多くの人がそこら中にいた。

 一番人口の多いエルフはもちろんのこと、人間や魔族、ドワーフや獣人、さらには竜人などがこの街でよく見かける。

 それほどにここは差別の少ない都市なのだろう。


 だが差別の少ない都市は比例して奴隷の数が少なくなり、価値が上がる。

 という事は当初の目的であった素材探しに奴隷を使うのはあまり効率的とは言えず、聖大陸にしか存在しない冒険者ギルドに頼むこともできないとなれば、それはもう時間が足りないとしか言いようがない。


 さらに面倒なことと言えば、エリクサーか解呪ポーション(最上)を作るには《錬金術》のレベルを上げる必要があり、そちらにも時間を割かなければならないとなると少なくとも数年は覚悟しなければならないだろう。


「これはもしかしたら、森林大陸に来るのは間違いだったか」

<マスター、そんなこと気にしてたらきりがない>

「それはそうなんだけどさ、《錬金術》のレベル上げるにも素材が足りないからかなりできることが限られてるんだよな」


 実際今の素材だけで効率よくレベルを上げたところで6が限界と言ったところだろう。


<だったら他の方法であれを解呪すればいい>

「ほんと、そっちの方がまだ早い気がするんだけど、こればっかりはどうしようもないんだよな」


 俺はもう一度【情報眼】で視た内容を確認する。


【洗脳(最上)】の解呪条件:

・〈状態異常完全解呪〉の使用(《聖魔法LV.10》必須)

・柳 真一の捕縛(使用者が死亡しているため達成不可)

・【洗脳(最上)】での上書き(《闇魔法LV.10》必須)

・エリクサー、解呪ポーション(最上)の使用(《錬金術LV.10》で作成可能)


<やっぱり《聖魔法》を育てて覚えた方がいい?>

「それもそうなんだけど、魔大陸だと何でか《聖魔法》のレベルが上がりにくいんだよ。かといって聖大陸だとおれが指名手配されてそうだし」

<じゃあ【洗脳(最上)】で上書きする?>

「クラスメイトを【洗脳】で従えるってなんかいやじゃん」

<?《隷属》はいい?>

「いやそういうわけじゃないんだけどさ、あれならまだ本人の意思ってのが分かるから。でも洗脳だと本当に使用者に対して意思を持たないから嫌ないんだよ。そしたら結局《錬金術》のほうがいいし、レベルも戦闘スキルより生産スキルのほうが上がりやすいんだよ」

<ふーん>


 グリモアは理解が出来たのか出来ていないのか分からない言葉で聞くのを止めた。


「はぁ。こういう時に影響力のある人と知り合って何とかできればいいんだけど」

<だったら偶然を装って知り合えばいい>


 偶然、ね。

 もうどうしようもなくなったらそれを()()のも視野に入れとかないといけないか。


「おい、そこの旦那」


 だがそれはあくまでも最終手段だ。俺のスキルは一度創ったら消せないからな。


「おーい、そこの旦那ー」


 ん、もしそうだったら自由に消せるスキルでも創るか?いやでももし一度創ったスキルが創れなかったとしたら。


「だからそこの旦那」

「……ん、旦那ってもしかして俺のことだったか」


 露天商のおやじさんに肩掴まれてやっと気づいた。


「そりゃあんた以外にどこにいるってんのさ」


 ドワーフのおやじさんがさも当然のように言い切る。

 俺、妻子持ちでもなければ旦那って言われるほど年も食ってないんだけど。


「それで俺にいったい何の用だ」

「いや、旦那みたいな黒目黒髪の人間が珍しかったんでな。もしかしたら勇者様かもと思って話しかけたんだが、違ったか」


 勇者様?


「勇者ってなんだ。過去にも勇者なんて肩書の奴がいたのか」

「肩書と言うか、そういう()()()()()()()()持ちの異世界人が召喚されて魔王を倒したって伝承があんだよ」


 《勇者》と言うエクストラスキル?

 魔王城に乗り込んできた奴にそんなエクストラスキルを持った奴はいなかったぞ。


「そんな奴が過去にいたのか」


 だが何故そんなまさに魔王殺し向きのエキスパートがいなかったんだ。

 ……そういえば倉場がなんか言ってた気がするな。

 俺は【情報眼】であいつの言っていた言葉を視直す。


『おいおい、さすがに俺たちはちゃんとやってるぞ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 追い出された。つまりその中に《勇者》スキル持ちがいたのか?


『私たちが皆さんに望むのはただ一つ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 王女がああいってたのに。

 王女も最終的にはただのヤンデレではあったが、当初の目的は魔王討伐、これに違いはなかったはずだ。

 実際に王女以外もそれに意見することがなかったし。王女が駒を無駄に減らすとは思えない。

 という事は王城にまだ捕らわれている可能性が高そうだ。


「おやじさん、ありがとう。おかげで目的が見えた」

「そうかいそうかい。お役に立てたようならよかった。こいつは俺からのプレゼントだ」


 そういってドワーフの男が焼き鳥らしきものを一本くれる。


「さんきゅう。じゃあ俺は行く」

「おう。達者でやれよな」


 俺は軽い足取りでその場を去った。





今後のおやじさんの登場予定はありません。


あんなにいい人なのに。

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