吸血姫《アルカード》
決着はちょい短め。
ブクマ50件突破。ありがとうございます。
金の髪が線を描いて疾走る。
戦いの渦中から十数メートルは離れていた距離を数瞬でゼロにし、ジャコとジェイクの背後からアルカ嬢は飛び出す。
「はぁっ!」
「ッ!?がぁっ!」
意識外からの襲撃に仔猫ちゃんは目を見開き、次の瞬間には胸を蹴り飛ばされていた。
先程までとは別人と思えるほどの動きで、アルカ嬢は血晶剣を構え直す。
仔猫ちゃんは打たれた胸を押さえながら嬢を睨みつけた。
「き、さま…吸血姫ぉ…!」
「さっきジャコを蹴っ飛ばしてくれたお礼よ、化け猫」
仔猫ちゃんに先程までの余裕はもうない。
不意打ち気味だったとは言え、アルカ嬢は奴の反射神経と瞬発力を上回った。
劣勢だった戦況は、一気に此方に傾く。
「ジェイクさん、ジャコ、時間稼ぎありがとう」
追撃を図ろうとしたジェイク達を、アルカ嬢は背中越しに手を挙げて制する。
「アルカ様!?」
「………ここからは、私一人でやるっ!」
そう言うとアルカ嬢は仔猫ちゃんに向かって斬りかかった。
「はぁぁっ!!」
「ちっ…この小娘っ!」
仔猫ちゃんは右手の血晶剣を更に肥大化させ、嬢の剣戟を受け止めようと構える。
遠目に見てもあの剣はかなりの厚みと幅が見て取れた。
あれならたかが剣一本受け止めるのは造作も無いだろう。
「んなっ…!?」
そう、剣が一本だったら。
ぎゃり、ぎゃりぎゃりと何度も剣がぶつかる音が響く。
「がっ…!?」
仔猫ちゃんの持つ血晶剣にヒビが入り、砕け散ると同時に仔猫ちゃんは吹っ飛ばされる。
「…………」
「なんだ…なんだそれは!?」
剣の状態を見るアルカ嬢へ、四つ足で着地した仔猫ちゃんは驚愕と焦燥の入り混じった顔で叫んだ。
無言で構え直すアルカ嬢の右手に握られた剣の柄頭には、いつの間にか血晶の鎖が繋がっている。
そしてその鎖には等間隔で繋がった7つの血晶剣が、アルカ嬢の背後に浮かんで刃を仔猫ちゃんに向けていた。
先程仔猫ちゃんの剣を砕いたのはこの複数の剣が同箇所を何度も斬りつけたものだ。
「さっき貴女が飛ばした爪を、私なりにアレンジしてみたわ。複数同時に操るのにちょっと慣れが必要そうだけど」
そういうアルカ嬢は軽く剣を振る。
それに追従するように他の剣も動き、じゃらんと鎖が鳴って円を描いた。
「行きなさい、ソード・スレイヴ」
手元の一本を残し、7本の剣が飛ぶ。
飛翔する剣にアルカ嬢が引っ張られるかと思ったが、手元の剣と距離が離れる程鎖が伸びていた。
「く…おぉぉ!!!」
ジャラジャラと鎖を鳴らしながら飛来する剣。
時には突き、時には薙ぎ、時には背後から斬りかかる。
鎖が音を立てながら間断なく剣が襲いかかる。
それを仔猫ちゃんは新たな血晶剣と爪を創りだして受け止め、捌いていた。
やはり伊達に異名がつくほど戦いに明け暮れていた訳では無い様だ。
だが、徐々にだがその身に細かな傷が刻まれていく。
「…ぐぅ…はぁ…はぁ…」
アルカ嬢が一度剣を退かせると、既に仔猫ちゃんは全身血だらけ、辛うじて剣を杖代わりにして立っていた。
「………まだやる?」
「ふざ…けるな…まだ…私は…立っているぞ…」
アルカ嬢の問いに、仔猫ちゃんはその赤い瞳に炎を灯しながら応える。
「戦場では…一瞬の油断が…命取りだ!!!」
仔猫ちゃんは叫びながら右手の血晶剣を手にまとわり付かせて左手と同じく爪に変化させると、四つ足を付いて身体を伏せる。
そして吸血種が持つ身体能力の全てを注ぎ込んだと思われる、凄まじいスピードでアルカ嬢へ跳びかかった。
「ソード・スレイヴ!!!」
その声と共に嬢の血晶剣は彼女の手元へ。
8つの紅い剣は一つに纏まり、一振りの巨大な剣へと変化する。
「吸血姫おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「終わりよ!!」
金と青が一瞬ぶつかり、爆ぜる。
二人はすれ違い、数秒が経つ。
「…………っ」
嬢の頬に赤い筋が入った。
「…………が…は…!」
仔猫ちゃんの右肩から袈裟斬りに血が噴き出し、力なく倒れる。
勝ったのは、アルカ嬢だった。
インコム装備量産型νガ○ダム。
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