明けの鐘 壱
飯テロ回はどうしましょう(知らんな)
投下が遅くなったこと、深くお詫び申し上げますm(__)m
お許し下さい(某アニメ風に)!
*このセリフと本編は、一切関係が御座いません。
「さて、そろそろ行くとするか」
赤雷の声で、ミシェルは微睡みから覚醒した。もう半刻になるか。そう言うと、彼は刀を佩いて立ち上がる。不調な様子はなく、堂々とした姿を取り戻しているようだ。
それをみた彼女が慌てて静止にかかる。
「ちょっと待ちなさい! そんな大怪我してるんだから、自重して。それでも前に出るなんて……あんた死ぬ気なの!?」
「──はっ、馬鹿を言え。ここまで大事になったんだ、露見するのも時間の問題だろうが。それに、乱戦は俺の得手。最悪囲まれてもどうにかするさ」
おそらくアルシュが居れば、彼も同じことをするだろう。戦闘不能ではないが、どちらにせよ負傷した身では不利になりかねない。何より、血を失い過ぎている。不安定な体調が元で、好機が窮地に変わらないとも言い切れないのだ。
そんな彼女の心境を知ってか知らずか、赤雷は盛大に舌打ちをこぼした。
「しっかし、秘剣を使って尚、ここまで手間取るとはな。初手で四人程度しか倒せんなど、我ながら反吐が出る」
「何よそれ……」
どれだけ出鱈目なのよ、という感想をすんでのところで飲み込む。最早、背筋が凍る思いである。彼女の見立てでは、連中の手勢には手練れが多い。それを一息に四人倒せる程度では飽き足らず、更に多く倒せるはずだと息巻くことは異常でしかなかった。
つまり、自然に考えるとするなら、彼の憤慨は虚勢とも取れる訳だ。
しかし、その声音と表情からそれが真意であることが読み取れた。そうなると、背中に受けた傷が伏兵によるものだと思われる。或いは、不意を突かれたのだろう。
三八人も斬ったらしいが、それを確認する手立てもない。消耗を考えれば、最後に彼が崩れ落ちたことにも納得がいく。彼の言っていることが事実だとすれば、全快の状態で五〇は倒せても不思議ではないはずだ。
そう思わせるだけの技量を、ミシェルは目にしているのだから。
何時もの態度とは違う言動は、心底悔やんでいる風でもある。先の言動では軽口を叩いていたが、彼にしてみれば納得いかない戦果らしい。
(『剣士なんてのはつまらない生き物』ですって? そんな化け物がいるだなんて、冗談でしょ!?)
およそ凡俗な暗殺者では及び得ない、卓越した剣の腕と、慢心を知らない向上心。そして、経験に裏打ちされた立ち回り。彼女は赤雷の真の強みを感じ取った。
それでも尚、譲らない。彼が死ねば、アルシュが悲しむかも知れないのだ。
「あたしも着いていく!」
その言葉に面食らった様子の赤雷は、しかし何も言わずにミシェルに近寄る。叱責だろうかと、身構える彼女の肩に手が置かれた。少しばかり硬い肌は、木の幹を思わせる。だが、そこにある仄かな温もりが、無機質なものではないことを如実に物語っていた。
「撹乱に二人も要らねえよ。本命が出張って来てどうすんだ、ええ? 俺の獲物は仕留めちまった。後は、親玉を残すだけと来た。参謀がいなけりゃ、憂いもねえのさ」
「あんたみたいなのでも、身体は温かいのね」
先生みたいなことを言いやがる。そう言って、彼は闇に紛れる。
「いいわ。今度こそ、あたしは自分の獲物を仕留めてみせる」
覇気に満ちた独白が、牢にぶつかり反響する。
そこにいたのは、凌辱に怯える少女ではない。澄んだ双眸を湛える、麗しの若き暗殺者であった。
よくこんなお話を4年近くも続けたもんだよ(汗)
はよ完結させなきゃ、読者に呆れられてしまう(血涙)
……読者が、待ってんだ。
俺は止まr──(自主規制)
*このコメントと本編の関連及び、関係は一切御座(ry