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 計器が異常な数値を叩きだしてから三日が経過した。

 数値は未だ上昇を続けており、それに比例して感染者の数も爆発的に増加している。

百目鬼(どうめき)主任、タイムリミットが算出されました。今日を含めて四日、との事です」

 部下の一人が、強張った声で言った。

 周囲に居た職員たちの表情に動揺が走り、沈痛な空気が滲みだす。

「……つまり、それまでに発生源を処理しなければ、プロテクトされた特定の領域にいる者達以外、全員がいずれ発症するという事か。人類は来年を正しく迎えられないかもしれない、と」

 何とも絶望的な状況だ。

 けれど、まだ救いの手は残されている。

 先程、原因の一部に干渉する事が出来たという報告があったからだ。

 その干渉によって誰かが目覚め、その誰かが発生源の顔を覚えていてくれたら、いや、そこまででなくとも、なにか場所を特定できる特徴さえ覚えていてくれれば、この問題は解決できる。

「補足の方はどうなっている?」

 その希望を胸に、壮年の主任は部下に訪ねた。

「この日ノ国(ひのくに)においてはほぼ百パーセント、浮上した人間を補足出来るとの事です」

「そうか」

 重々しく息を吐く。

 朗報に聞こえるが、この言葉が意味しているものは、ほかの国の精度の低さだ。

 そしてその国で漏れが発生した場合、対応は確実に間に合わない。

 やはり、今すぐにでも、汚染されていない少数で人類を存続させるプランに移行した方が――


 どさっ、


 嫌な音がした。

 視線を向けると職員の一人が倒れていて、

(……あぁ、それも、もう無理なのか)

 当然の諦めが、四肢を鉛のように重くした。

 プロテクトは既に突破されていたのだ。感染し、発症した。此処すらも安全圏ではない。

 職員たちも事態を理解したのだろう。なけなしの理性が砕け、パニックに陥る者が出始める。

 それを止める気力は、主任にももうなかった。


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