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ファンテルジー  作者: タンタタン
第一の戦線
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16/16

第15話脅威

キョンシーが逃げた翌々日。

それぞれの時間を過ごしていたメンバー達のほとんどが、作戦室に戻っていた。

「全く…まだ来ないのか?遊んでいいのは昨日までと、通達していた筈だが…ハァ」

相立はため息を吐く。どうやら相立は、ノヴァスのメンバー達に、昨日までは、好きに過ごしていい。と言ったらしい。しかしそれを守らないメンバーがいる事に呆れているのだ。

「まっ…まぁ……遅延とかでっ!遅れることも…ある……かも、しれませんからっ!」

『はいはい落ち着いてね〜』

アンナは必死にこの場にいないメンバーをフォローする。しかし

「いや、遅れているのは空晴(ゆいは)だぞ?瞬間移動ですぐ戻れるだろ…」

どうやらフォローは出来なかったようだ。

「まぁ、仕方ありませんわ。今に始まったことじゃありませんし、相立さんも、別にそんなに怒ることじゃないでしょう?」

シェラはそう言う。

「そうか…まぁ、空晴(ゆいは)は大丈夫だろう。さて、それじゃあ今いる奴らだけでも会議を始めるか」

その時、

ーーガチャ

作戦室の扉が開く音がした。

扉の先には空晴(ゆいは)が立っていた。

「遅れ た ごめ ん」

空晴(ゆいは)…何かあったのか?」

「何も なかった」

「いや血ィ!」

猪虎は思わずツッコんでいた。それもそのはず、空晴(ゆいは)の身体は土や、血でボロボロになっていた。何も無い訳がないのだ。

空晴(ゆいは)、座れ」

相立は空晴(ゆいは)に座るように促す。

「う ん」

空晴(ゆいは)は言われた通りに座る。

座る時の動きはぎこちなく、疲労が溜まっているのが見て取れた。瞬間移動で帰ってこなかったのも、疲労が原因なのだろうか。

「さて、何があった?」

「… おそ われた」

相立の顔色が変わる。

「誰にだ?」

「ヴィル って 人」



「………」

相立が一瞬目を見開いた。

その僅かな変化をシェラは見逃さなかった。

「知っているんですの?」

「……名前だけだ」

相立は短く答える。

しかしその返答とは裏腹に、その表情は何かを隠している者のそれだった。

「どんな人物ですの?」

「少し前まで、対能力者専門の何でも屋をやっていた能力者だ」

「受けた依頼は確実にこなす、もっぱらそう言う評判だった。」

「だった?どう言うことですの?」

「最近になって、突然消息を絶った」

相立は一拍置いて深呼吸をすると、話を続ける。

「だからもう、辞めたと思っていたんだが…」

「そいつが今になって空晴(ゆいは)を襲ったのか…」

「妙だな…」

「何がダァ?」

猪虎が質問する。

「ヴィルは依頼をこなす。自分から人を襲うような奴ではない筈だ」

「つまり?」

「誰かがヴィルに、空晴(ゆいは)を襲うように依頼した可能性がある」

「ふんふん」

空晴(ゆいは)ーちゃん?そのヴィルって奴は〜依頼主についてなんか言ってたー?」

「ん… なんか キョーダン? って 言ってた 気がする」

「へー?情報漏らしちゃうなんて、悪い子だぁ〜」

「バレちゃったならしょうがないかぁ〜うんうん」

誰も返事が出来ない。

その声は、その言葉は誰から発せられた物だった?

周りを見渡す。見知らぬ顔はない、その筈なのに…

「誰だ」

相立のその一言で皆が気づく。

この作戦室には、1人多かった。

「やーっと気づいたのぉ?」

部屋の隅に、壁にもたれかかっている少年が1人、いた。

見知らぬ姿、声。

いつ、どこから現れたのか検討もつかなかった。

少年はこちらに笑みを浮かべ、手を振る。

「はじめまして〜、そのキョーダンの幹部だよ〜」

少年がそれを言い終えた瞬間。全員が一斉に臨戦体制になる。

猪虎は拳を握りしめ、アラクネが威嚇し…

「ちょっとちょっと!活気盛んすぎない!?今日は挨拶だけ、そうだなぁ…」

「"宣戦布告"かなぁ…」

少年がニコリと笑う。

「何でも屋君、お仕事失敗しちゃったからさぁ。」

「次はボクらが遊びに来るから…ね」

少年はそのまま去ろうとする。

「逃すわけねぇだろうがよ!」

猪虎がいち早く、少年に向かっていった。しかし

「じゃあね〜」

猪虎の目の前にいた筈の少年は忽然と消えていた。


――――――――――――

同日、ある教会にて。


薄暗い部屋の中を、スタンドガラス越しに漏れ出る光が淡く照らす。

「我が主人、報告を」

何者かが膝をつき、部屋にある祭壇に向かって話を始める。

あいつ(ガキ)による宣戦布告が完了しました」

「それと同時に、何でも屋の敗北を確認」

数秒の沈黙

その後祭壇の奥から声が響く

「そうか…」

「いいだろう、元より奴は布石」

「さて…侵攻を、進めよう」

「畏まりました、主人…いえ、魔王様」

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