第2話-2挟撃
新年明けましておめでとうございます。
今年初めの更新です。少しでも面白いと思って下さるなら、うれしいです。
「ーーーッ!!!悪いがリア。契約はまた今度だ!!!武装である『デウス・エクス・マキナ』に命じる「術式」を破壊せよ!!!」
右腕の装甲の一部がスライド、内部から紅い宝玉が顕になる。低い音が唸りをあげるのと連動して、紅い宝玉が眩く光り、陸斗の全身を覆う。
「えっ?」
硝子が割れた音が響く。
二人を囲っていた魔法陣統べてが粉々に砕け散り、大気に戻っていく。リアはいきなりの出来事に思考が追いつかず硬直、動けない。
この隙に逃げる。
後ろにバックステップしようとした瞬間ーーー
「リア、何をしているんですか。貴方は、」
「ほえっ?」
「なっ!!」
陸斗とリアの耳に女性の声が伝わる。
突然の声に驚きながらも、陸斗はリアをギュッと力強く抱きしめ守る体勢を構える。
同時に、声の出所を見つけるべく、周辺の声を探る。
「フィールドリーディング!!」
探索領域を全開に拡げる。
が、見つからない。半径1キロ内部の全て、民間、ビル、地下、上空までくまなく調べてたのに発見出来ない。
おかしい。今の声はかなり近くから聞こえた。
トリコのゼブ○じゃあるまいし1キロ以上も遠い位置から声を届けるなんて超人でも不可能だ。
いや、リアと同じで『術式』を使用すれば可能なのか。
「どうするべきかな?なあリア。」
抱きかかえているリアに意見を求める。とーーー
「リア、貴方はなにをしているんですか。なにも知らない人に対して『契約術式』なんて。」
「別にいいじゃない。陸斗みたいな「優良物件」めったにーーー。うんうん、奇跡がおきなきゃありえないことなんだよ。」
「それでもです。まず男性に説明して、了解をとり。二人の合意の上で契約するものです。」
「後で了解を得たっていいと思うけどな~~~。」
誰もいない空間に向かって話してかけているリアがいた。
「………………………はいっ?」
和気あいあいと誰かとおしゃべりしているリアに空いた口が塞がらない。いや、よく見るとそんなことより驚くべき事が行われている。
「そんな事までできんのかよ。」
空中。
リアの眼前に展開されているティスプレイ。
よくSF映画の通信で見られる現象がおこなわれていた。
画面に映っている女性は女神と思うぐらい美しく綺麗な姿をしていた。腰まで届く綺麗な銀の髪、サファイヤのような蒼い瞳が印象的だ。
体もリアとは違い、出るところでて、細いところは細い。実にメリハリのある体つきだ。
俺の好みではないが。
「おいリア。」
「ん?なに陸斗。今、お話中なんだけど。」
「お話中、じゃねーーーよ。誰だよその女性は。知り合いか?」
「一応、私の保護者みたいなものだよ。」
「保護者ねぇ。」
まあ言われてみれば納得できる話しである。
いくら術式を使用できるとしても、リアはまだまだ子供だ。大人がいなくては危ないだろう。怪我とかではなく、主にロリコンの連中に。ロリコン受けはいいからなリア(幼女)は。
大いに納得、うんうんと頷く陸斗の脚に、激痛が走る。脛をおもいっきり蹴られた。
「いたっ!!なんで唐突に蹴るんだよ!痛いだろうが。」
「今とっ~~ても、失礼なことを考えていたでしょ。邪悪な気配を感じました。ビビッと」
脚をさする陸斗に、頭をつきだすリア。
ニュータイプかこいつは。
ーっていうか人の思考を先読みしないでいただきたい。これじゃこれから先、変なことを考えられないな。どうしたもんかね。
む~~~っと頬を膨らまし睨むリア。
二人を見て画面の女性はクスクスと優しく微笑む。
「はじめまして。私の名前はコルナ。コルナ・ルー・ルナと言います。気軽にコロナとお呼びください。」
ニッコリと微笑む彼女、陸斗も慌てて返事を返す。
「ああ了解した。よろしくなコルナ。俺の名前は藤間陸斗、呼び方はなんでもいい。名前でも、名字でも好きなように呼んでくれ。」
「はい。では、陸斗君とお呼びしますね。」
「おう!」
画面越しにお辞儀を彼女。
前屈みになるコルナの豊満な胸が大きく躍動する。
本当に大きい胸って、少し動だけで跳ねるんだ~~~。と好みではないが女性の神秘に関心していると。
「イテェな!!いきなりなにしやがるリア!!」
「イヤラシイ眼でコルナを見ないでよ。スケベ!変態!性犯罪者!!」
「誰が性犯罪者だ!俺はたんなる「胸って揺れるんだな~~」って関心していただけだ!!!」
「な!!!」
コルナの胸を観察したリアは、改めて自身の胸をペタペタ触る。触る度に顔色が悪くなっているのは気のせいだろうか?
「どうせ私の胸は揺れませんよーーー!!悪かったですね!!!」
「何でいきなり怒るんだよ!意味がわからん!」
ガルルルルルルと猛獣みたいな唸り声をあげるリアに、キシャーーーーーーッ!!!と威嚇する陸斗。
両者の間に火花が散る。
「ガオーーーーーー!!!」
猛獣のような咆哮と、俊敏さで陸斗に襲いかかっててくるリア。
「甘いわ。」
突撃してくるリアの頭に手をおき、行動を封じる陸斗。
手を必至に伸ばすリアだが、いかんせん身長が違いすぎる。どんなに手を伸ばそうが、空しく空を切るだけである。
高笑いする陸斗と、悔し涙を流すリア。
そんな二人の光景がよほど珍しいのかコルナは目を丸くしている。
「珍しいですね。リアが初対面の男性にここまで心を許すなんて、少し驚きです。」
「そうなのか?こいつのことだから、誰に対してもこんな風に話しているんだと思っていたんだが。」
驚きの声をあげる女性。
女性には悪いがそんな風には全然見えない。
会って間もない、歳上の俺に対して、いきなり「名前」で「呼び捨て」にしたリアだ。誰でも遠慮なく会話していると思っていたんだが、違うらしい
「あんたの知っていリアは普段はどんな感じで「相手」と会話しているんだ?」
「それはーーー」
女性が喋り出そうとした瞬間。空気が変わる。
「顕れましたね。」
「ーーーーーーッ!!!」
「この感覚はさっきのヤツか?」
陸斗とリアは同時に同じ方角を睨みつける。
コルナも可愛いらしい顔から、真剣な顔つきに変わる。方角は北、距離は約十キロぐらい離れた場所。
街の公園や、遊園地などが存在している地区だ。
今は夜だが、今日はゴールデンウィーク前日。遊びに出かけている若者、老人家族連れ人など、老若男女。数えきれないほどの人が大勢いるだろう。
「リア、ヤバイぞ!!!あんな所で化物が暴れ出したら、最悪死人が出る。」
「分かってるよ。大声出さないで!!」
リアの足場に魔法陣が展開される。
次に、自身の懐から分厚い本を取り出し空中に固定する。『空間に固定する』それだけでも十分に驚くべき事だが、さらに本のページが自動で捲られていく。
まるで、本その物に意志があるかのように。
だが、遅すぎる。故に、
「先行するぞ!!!遭遇する化物は『敵』(蟲)は片づけてしまっていいんだろう。」
ビルのフェンスを飛び越えて、空中に体を晒す陸斗。
「お願い。この術式は時間がかかるの。だから、」
「分かっている。リアはー秒でもはやく術式を完成させろ。」
「うん。」
地球の重力に引かれて落下する陸斗だが、恐怖ははない。『デウス・エクス・マキナ』の恩恵で自身の身体能力が格段に上がっているからだ。
これなら、飛翔ける!!
「頼むぞ。誰も間に合ってくれ。」
祈るように呟き。脚に力を込め、爆発させる。
「『瞬卦』!!!」
落下していた筈の陸斗の姿が消える。
陸斗の姿はすでに肉眼では見えない所まで進んむ。同時に『長距離用瞬卦』によって生まれた衝撃波が周囲にある硝子を粉々に粉砕した。
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「いいんですか。彼を先行させて?」
「問題なしなし。私達がないを言ったところで陸斗は行きますし。」
「それはそうだと思いますけど…………」
不安な顔を造るコルナに、リアは能天気そうに応える。リアのオリジナルの隔離術式『造られた模型』は、確かに時間はかかるが、それはほんの数十秒である。
陸斗の高速移動術である「瞬卦」の速度は約マッハ2弱。
十キロ程度ならの距離ならば、五秒もたたず現場に到着すると予想される。
「それよりコルナ。陸斗の情報、何かあった?」
「いえ、学校のデータバンクにアクセスしてみましたが情報は有りませんでした。」
「そう。」
新しいディスプレイが空中に展開される。
ディスプレイに映しだされた映像は、蟲と戦っている陸斗の姿だ。
「でも、絶対におかしいよ。これほどの戦闘能力を所持していれば、絶対に学校の人だと思ったんだけど。」
「はい。私もそう思ったんですが情報はありませんでした………….」
「……………………まあ、わからないことを考えてもしかたないよ。」
言葉と同時に魔法陣が完成する。
本のページから小さな無数の魔法陣が展開されていく。
展開された魔法陣は一気に拡大、空に浮かび上り。
完成するーーーーーー
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