15話
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「真砂先輩。今週の土曜日って空いてますか」
数日前、男子寮の廊下で静は優牙に話し掛けられた。
静と優牙は会ったら軽く雑談するようになっていた。
それでも、優牙の方が聞き役になることが多いため、優牙から話し掛けてくるのは珍しかった。
「土曜日? バイトも入ってないし、空いてるけど……どうかしたの?」
「うちの高校で他校との練習試合があるんです。……見に来てください」
それだけ告げると、優牙はそのまま去っていった。
(水瀬くんに誘われるの初めてかも)
土曜日は喫茶店巡りでもしようと思ったが、予定変更する静だった。
土曜日。休日だが静は高校のグラウンドに来ていた。
静は帰宅部なのて、熱気に満ちた運動部の空間は、どこか自分とは無縁のものに思えてしまう。
金網のフェンスに寄りかかり、静はグラウンドへと視線を送る。
ホイッスルが鳴り響き、他校との練習試合が始まった。
グラウンドを縦横無尽に駆け巡る選手たちの中で、静の視線は自然と優牙へと向けられる。
(……すごいな)
サッカーをしている優牙は、静が知っている優牙とは全くの別人だ。
相手の隙を突く素早いドリブル。
体格差がある敵選手に押し込まれそうになっても、体勢を崩さない。
汗に濡れた髪が日光に反射して輝いている。
ゴール前での気迫に、静の胸はドクンと大きく鳴った。
(かっこいい……)
サッカーをしている優牙は眩しかった。
「ねえ、あの23番の子、めちゃくちゃかっこよくない!?」
「一年の水瀬くんだよね! 背番号23は一年エースがもらえる番号なんだって!」
「背は小さいけど、動き速いね! 可愛い顔なのに試合になると男っぽいとかやばくない?」
静のすぐ近くで黄色い声が耳に飛び込んできた。
見れば、同じ学校の女子生徒数人が集まり、グラウンドの優牙を指差して盛り上がっている。
「試合終わったら、ドリンク渡しに行ってみようかな」
「いいじゃん! L*NEとか聞いちゃいなよ!」
楽しそうに盛り上がる女子生徒たちの声を聞いた瞬間。
静の胸の奥で、カタリと重い音を立てて何かが落ちたような感覚がした。




