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泳ぐのは得意なのにね

「ねえ、金魚すくいやろうよ!」

「よし! 勝負だ。負けたやつがみんなにたこ焼きを奢るっていうのはどうだ?」

「いいね!」

 私の提案に真っ先に乗って来たのは前田君。彼はなんだか浮かない顔をしている。


「どうだ!」

 真っ先に乗ってきただけあって前田君は6匹もすくった。私は惜しくも5匹。朝倉さんは2匹。彼はというと…。

「泳ぐのは得意なのにね」

 彼は1匹もすくえなかった。

「こいつらが可哀そうだろう」

「あら、優しいのね」


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