前へ目次 次へ PR 13/50 ハンカチに名前が刺繍されていた 「どうしたの?」 泣きながら家に帰った私に母が尋ねた。私はお使いの帰りの出来事を話した。 「それは怖かったわね…。あら? そのハンカチ…」 私は貰ったハンカチを母に渡した。 「あさいたかし。浅井さんって誰かしら?」 ハンカチには彼の名前が刺繍されていた。私はまだ字が読めなかったから母が発した言葉を聞いて彼の名前を知った。 私たちはそれから間もなくK県に引っ越した。彼にハンカチを返すことも会うことも出来なかった。