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最高の逸品を求めて

私の奪還が成功した事をロッキード王国の人達は喜んでくれた。

私の正体を知っても、彼らは私の事を心配してくれた。

何だか…嬉しいよ…だけど同時に申し訳無いと思った。

私のせいでそこまで心配させちゃって。


そして、私達はすぐに鍛冶屋に足を運んだ。

そこはリトさん達の武具を作ってくれた鍛冶屋さんらしい。


「いやぁ、勇者の皆さんの役に立てたみたいで嬉しいぜ!」

「本当、あなたが鍛えてくれた武器があったお陰で助かったわ」

「がはは! そりゃ嬉しいな! 鍛冶屋冥利に尽きるってもんよ!

 俺達鍛冶屋にとって、1番嬉しいのは助かったって言葉だからよ!」


凄い筋肉のおじさんだなぁ…腕とかとんでもなく太いよ。

鍛えたらこんな風になるんだなぁ、男の人って。


「父さん、次の依頼が来たよ。っと、あぁ勇者の皆さん!」

「どうも、あの時は世話になったわね」

「お陰で助かったよ! 私達とそんなの変らないのに

 お父さんとお母さんの手伝いしてて凄いよね」

「えへへ、あたしなんて、2人に比べたらちっぽけな物さ。

 手伝ってるだけだからね、2人みたいに国を救えてないし」

「おいおい、ルリナ! 何度も言ってるじゃねぇかよ!

 俺達鍛冶屋はしっかり国支えてんだぜ!?

 誰かの役にも立ってんだ、国だって救ってらぁ!

 それ位の気概を持ってやれって言ってんだろ!?」

「でもさ、あたし達は道具を作ってるだけで」

「その道具が人の命を救ってんのさ!

 半端な気持ちでやってたら人殺しって奴さ!」


鍛冶屋のおじさんは自分の仕事に確かな自信を持ってるみたいだった。

実際、私もその通りだと思う。私みたいな魔法使いは別かも知れないけど

リトさんやリズちゃんみたいに武器を扱う人に取って武器は相棒で生命線。

国を救った英雄も、きっと武器が無ければ英雄にはなれない。

最高品質の装備を作る。それは確かに国を救うに等しいと思う。


「良いか? ルリナ、俺達鍛冶屋はただの道具を作ってるんじゃねぇ

 最高の相棒って奴を作ってるんだぞ? 命を守ってくれる相棒をな」

「…そうだね、確かに父さんの言う通りかも知れないね。

 あたし達鍛冶屋はただの道具じゃ無く、大事な相棒を作ってる。

 よし! あたしも英雄の相棒を作れるくらいに腕を上げるよ!」

「そのいきだ! それにお前は俺と違って魔法の才能まであるだろ?

 そう言った武器を作れるかも知れねぇからな!」

「あぁ、でもまぁ、そんな素材は無いと思うけどね。

 だって、ドラゴンクラスの素材じゃ無いと

 魔法の才能は関係ないしね」

「ふーん…じゃあ、あなたに依頼をすれば良いのかしらね」


そう言って、リトさんはマジックバックからジーラスの素材を取り出した。


「忙しいと思うけど、私達も新しい依頼があってね。

 このドラゴンの素材を使って、武具を作って欲しいの。

 色々な武器がある方が私達も戦いの幅が広がるからね」

「……え!?」


当たり前の様に取り出してるから分かりにくいかも知れないけど

ドラゴンの素材だなんて、最強クラスの実力が無いと手に入らない。

ましてや最強のドラゴンであるジーラスの素材だなんて

勇者のパーティーとかじゃ無いと手に入らないだろうね。

その勇者も相当レベルが高くないと無理だろうけど。


「ど、ドラゴンの鱗、牙、爪…って、な、何だこりゃ!?」

「み、見ての通りよ…」

「ま、まさか…ドラゴン狩ってきたのか!? あんたら!」

「えぇ、クソデカいドラゴンを狩ってきたわ」


確かにジーラスの大きさは凄まじいかったからね。

普通なら勝てるレベルじゃ無いけど、勝てた。

皆が私を助けに来てくれて…本当に嬉しかった。


「ど、どど、ドラゴンの素材だよ父さん! 初めて見た!」

「そ、そりゃ俺も初めて見たぜ…こんなの英雄クラスだろ!」

「ドラゴンの鱗を切り裂けるくらいの武器を作ったのに?」

「うぇ!? 何!? 俺らが作った得物でやれたのか!?

 マジかよ!? そ、そこまで切れ味があったのかぁ!?」

「そりゃもう、凄まじい切れ味だったわ。まさしく最高の武器だった。

 当然、今の装備でも大満足なんだけど、選択肢はいくつも欲しいからね。

 後、防具もいくらか欲しいのよ。軽い素材で強固なドラゴンの鱗があるし」

「こ、こりゃあ…大仕事になりそうだな…俺はアドバイスしか出来そうにないが」

「え!? じゃあ、誰が作るの!?」

「そんなの、おめぇしか居ねぇっぜ! 馬鹿娘!」

「え、えぇぇ!?」


ドラゴンの素材は魔法の才能が無いと加工できないってのは初めて知った。

そもそもドラゴンの素材を手にしたことも無いし、そう言う武具を得たことも無い。

だけど、鍛冶屋のおじさんが言うんだし、間違いないと思う。


「へへ! 最高の大仕事だろ!? 勇者様の相棒を作れるんだぜ!」

「む、無理無理! あ、あたしには無理だよ! 父さんがやってよ!」

「そりゃぁ、やりてぇがよ、俺は魔法はからっきしでな。

 才能だって無ぇんだ、お前しか居ねぇんだ!」

「で、でも、そう言うのは今までずっと…母さんが」

「だから、お前が母さんの跡を継げ! 母さんだってよ

 おめぇが大きく成長する事を願って逝ったんだ。


 大丈夫だ、お前なら出来るさ。お前の親父である俺が言うんだ。

 そして、お前が憧れた母さんだって、絶対にお前を信じてる。

 大丈夫さ、お前なら出来る! 自信持て! お前には技術もある!

 才能もある! 後は自信だけだ!」

「で、でも、自信も無いあたしが勇者様の相棒を作るなんて失礼で!」

「大丈夫! 勇者は成長する事が大好き! 

 勿論、頑張って成長しようとしてる人も大好き!

 成長しようとしてる人が作った武器なら大歓迎だよ!

 大丈夫だよ! 自信を持って! 自信があれば大丈夫なら間違いない!

 あなたのお父さんもそう言ってるなら間違いないよ!」

「ゆ、勇者様…うぅ、わ、分かったよ、ちょ、挑戦してみる。

 で、でも…あたしなんかが作った武器…不安じゃ無いの?」

「不安じゃ無い! 信じてるからね!」


リズちゃんは誰に対しても優しい。本気でルリナさんの事を応援してる。

リズちゃんの表情がそれを物語っている。疑ってる素振りは全く無い

真っ直ぐとした、間違いない自信を持ってリズちゃんはそう言ってる。

心の底から大丈夫だと信じて、リズちゃんはルリナさんを応援する。

そんな心の底からの応援を受ければ、誰だって強くなれる。


「…う、うん、じゃあ任せて! 時間が掛るかも知れないけど

 ぜ、絶対に最高の逸品を作りあげてみせるから! 父さん以上の物を!」

「そうだぞ! ルリナ! 子は親を越えてくもんだ!

 大丈夫だ、おめぇなら出来るさ! まぁ俺もアドバイスはしてやるさ!」

「じゃあ、料金はどうしましょうか…私の全財産で足りるかしら」

「いや、料金は要らねぇさ!」

「え!? で、でも! す、凄い大変なんでしょ!?」

「大変だがよ、俺らは勇者の皆さんの役に立ちてぇのさ!

 俺らを救ってくれた勇者様に恩返しできるんならなんでもやるぜ!

 それによ、これはルリナの挑戦だ! 未来への挑戦って奴だぜ!」

「うん、あたしだって、絶対に成長してみせる。

 これはあたしが成長するための1歩…

 むしろ、あたしがお金を払いたいくらいだよ。

 こんな最高の機会をあたしに与えてくれて」

「…しかし、良いのですか? ドラゴンの素材加工だなんて

 普通なら何十万ビルドも掛る、とんでもない程に苦労しますよ?」

「苦労の先に成長があるなら、あたしはそれで構わないからね」

「よし、そのいきだ! それによ、

 ルリナがドラゴンの素材を加工できたってなりゃうちも繁盛さ!

 何、俺らにもちゃんと得があるんだ、気にしないでくれよ!」

「そう、じゃあ特に気にしないで依頼をしましょうか。

 お願いね、これが素材よ」


リトさんがマジックバックから全ての素材を取り出した。


「私の斧とリズちゃんの剣を作って頂戴。

 素材はどれだけ使っても構わないわ。

 そして、最高に頑丈で軽い服みたいな鎧が欲しいわ。

 ドラゴンの鱗は100枚ある。全員分作ってくれれば良いわ。

 その過程でどれだけ素材が消耗されようと何も言わないわ」

「こ、これは凄まじい量だね。あたし、頑張るよ!」

「お願いね、ルリナ。私達は少しの間だ自国へ戻るけど」

「そうなの? 少し残念だけど、次、勇者様達が来たときに

 最高の報告を出来るよう、あたしも尽力するよ!」

「ん、お願いね」


次にロッキード王国に来たときに凄い得物が出来てる事のが楽しみだよ。

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