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裏切り少女のやり直し~200年後の再挑戦  作者: オリオン
第3章、違和感の始まり
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宴会

「かぁ! なんて飲みやすいんだ!」

「何処か優しい味よね! このエルフの雫!」

「味わい深いだろう? 最高傑作だからな」


すごい勢いでお酒が無くなって言ってるような気がする。

皆、凄まじい程の笑顔だし、幸せそうだなぁ。


「焼き鳥おいひぃー! あむあむ…もぐも~ぐ」

「リズちゃん、ご飯を食べるときに口を開けたら駄目だよ? お行儀悪いよ」

「むー、こういう風に食べるのが1番美味しいんだけどなぁ」

「食事の場で1番大事なのは皆が楽しむことだよ。忘れないでね」

「はーい! むぐむぐ」


あ、ちゃんと口を開けないで食べ始めてくれた。


「うん! 次ー! 今度はこのおつまみお肉って言うのちょうだーい!」

「うぅ…は、はい」

「んー? 少し大変そうだけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫」


と言ってるけど、どう考えても大丈夫じゃ無いと思うけどなぁ。

そう言えば、お店の人達もお酒をがぶがぶ飲んでるし…これ、人手足りるのかな?


「お、お待たせ、それじゃすぐ次行くから!」

「むー、ルーズちゃん大変そうだなぁ」

「1番動いてるね…」


エルフの雫にはお店の人さえ仕事を放棄してしまうほどに魅力があるのか…

まぁうん、ミザリーさんも負けるくらいだからね…


「じゃあ、私少し手伝ってくるよ」

「あ、じゃあ私も手伝うよ」


流石にルーズちゃんが大変そうだったから、私達も手伝いをすることにした。

…と言うか、これ殆ど動けるのルーズちゃんだけだったんじゃ無いかな?


「厨房の人も酔ってるんだね」

「皆、お酒大好きだから…それに、エルフの雫は皆、飲みたがってた。

 折角のチャンスだし…でもごめんね、巻き込んで」

「いや、大丈夫だよ」

「うん! 美味しい焼き鳥を食べさせて貰ってるお礼!

 そもそもこんな状態になったのは私達のせいだしね。

 ちゃんとお手伝いするよ」

「ありがとう、それと2人は何が出来る?」

「物を運ぶ事は出来ると思うよ!」

「私は料理が出来るかな。お店の味を再現できるかは怪しいけど」

「うーん…じゃあ、私が注文を取って、合間合間で料理の手伝いをするね。

 リズさんは出来た料理を運んで欲しいの」

「任せて! 後、さんじゃ無くて呼び捨てでも良いよ?

 ちゃん付けでも大丈夫! 私達友達だもん!」

「…ん、じゃあ、リズ…は、料理を運んで…エルはお料理をお願い」

「うん、任せて」


3人だけで回せるかは怪しいけど、やるしかないよね。

料理は出来るから問題は無いし。


「焼き鳥をお願い」

「うん、もう用意してる!」

「よーし、運ぶよ!」


私達3人は必死になって皆の注文を処理することにした。

やっぱり数が多いし、凄く忙しい!

料理を作るのはまぁまぁ得意だけど、こんなに忙しく慌ただしいのは初めてだよ!

1個終わっても、またすぐ次が来る。休む暇は無い。


でもなんだろう、外から聞えてくる楽しそうな声を聞いてると

何だかドンドン楽しくなる。早く料理して、早く運ぶ。

調理をする時に、少しでも早く調理が完了するように施しをする。

そこは私も魔法使い。魔法を扱ってのカバーも可能だしね。


焼くという時間短縮はかなり出来る。色々な魔法の併用でね。

食材を内側からも外側からも同時に焼くことだって出来る。

ミリアさんが料理をする時に魔法を使ってるって知らなかったらこんな発想無かった。


「次は」

「うん、聞えてたよ! もう用意してる!」

「早いね…本当に火が通ってる?」

「勿論だよ、私も料理を作ってるからね。そこは断言できるよ」

「…うん、ちゃんと焼けてる。どうやってるの?」

「私はこれでも魔法使いだから、色々な手段があるんだよ」

「…そうなんだ、凄いね」


それからしばらくして…何だか注文が途切れ途切れになって来た。

そろそろ休めるかと思って、チラッと皆の姿を見たところ

まぁ、まだ元気そうだけど…その…


「うへへ~、可愛いわね~、リズちゃ~ん!」

「リト姉ちゃん離してぇ!」

「羨ましい~、私も可愛い子を抱きしめたい…」


少し身の危険を感じて身を潜めた…あぁ、完全に悪酔いしちゃってるよ。

と言うか、さっきちょっと皆の姿を見たとき、扉の向こうに影があった気が…


とは言え、あの中を抜けるのは私の身が危ない気がする。

だけど、私はこれでも魔法使いだからね。移動手段は多種多様だよ。

とりあえずテレポートを使って、建物の外へ移動した。


「うぅ! 何で扉が開かないんですかぁ! 開けてくださいよー!

 リトさん! ミリアさん! 居るんでしょ!? 開けてくださいよぉー!」

「…あ、やっぱり…ミザリーさん、お疲れ様です」

「おや? エルさん。何故建物の外から? 一緒に中に居るのかと」

「まぁ、さっきまで中に居たんですけどね…あはは」


やっぱり外で見えた影はミザリーさんだったんだね。

宣言通りすぐに仕事を片付けてやって来たみたいだけど

お店の人達が貸し切りにするって言ってたし、鍵を掛けてたんだね。


「とりあえず、今は貸し切り状態なので中には入れませんよ」

「そ、そんな…せ、折角仕事を最高速度で終わらせたというのに…」

「安心してください、あくまで正面から入れないと言うだけですよ。

 今現在で言えば、私が裏口みたいな物ですって」

「裏口に案内してくれるんですか?」

「いや、違いますよ。はい、私の手を握ってください」

「手? はい、これで…おぉ!」


ミザリーさんが私の手を握ると同時にテレポートで一緒に中へ飛んだ。

便利だよね、テレポートの魔法。私の場合は座標を失敗して

その場所にめり込むなんて事は無いから簡単に使えるからね。

魔法陣にある程度の情報を書けばテレポートを自在に操ることは造作ないよ。


「にゃはは~! 最高~!」

「うぅ~! リト姉ちゃん離してよぉ-! 私はまだまだお仕事があるのぉ!」

「ふふふ~、はい、ルーズも飲みなさい~」

「お父さん…私は未成年……」

「ルーズちゃん可愛いよなぁ! がはは!」


あ、ルーズちゃんは色々な人のお酌をやらされてたんだね。

なる程なる程、だからあまり注文が来なくなったんだ。


「はぁ、これは完全に皆さん悪酔いしちゃってますね。時間も遅いし当然ですけど」

「リズちゃん…リトさんに抱きしめられて少し苦しそうだなぁ…」

「リトさんは怪力ですからね。可愛い物好きの側面もありますし…

 悪酔いしちゃってそれが暴走したんじゃ無いですかね?」

「多分そうでしょうね…あはは」


ま、まぁうん。それでも楽しそうだしまぁ良いかな。

とりあえず私は急いで厨房に戻ろう。料理しないと駄目だしね。


「じゃあ、私は厨房の方で料理の準備をしてきますので、何かあれば」

「はぁ、では早速ですけど…背後、大丈夫です?」

「背後?」


少しミザリーさんが冷や汗を流しながらそう言ったわけだけど…

もしかして、ただ事じゃ無かったりするのかな…何か背後から凄い圧を感じる。

……これは、振り向くべきでは無いのかも? い、急いでテレポートで。


「エルー!」

「あひゃ!」


ま、間に合わなかった! 背後から不意に抱きしめられた上に抱き上げられた!


「いやぁ、可愛いなぁ~! リトが少し羨ましかったんだ!

 こうやってスキンシップをしたかったんだよ、私も!」

「み、ミリアさん! れ、冷静になってください!

 わ、私がこのままだと料理が出ませんよ!? 料理なしでお酒飲むんです!?」

「酒の肴はお前自身だ!」

「止めてくださいー!」


結局ミリアさんに捕まった私はしばらく解放されなかった。

うぅ、まさかこんな長い時間抱きしめられるなんて…

酔っちゃうとそんな風になるんだね。まぁうん、長い間拘束されるのは慣れてるけどさ。

何度かかなりの時間レイラードに抱きしめられてたし…


「うぅ…や、やっと解放された…」


もうまともに動けるのは私くらいかな…ミリアさんも寝ちゃったし

リトさんに襲われてたリズちゃんも限界が来たのか眠ってる。

ルーズちゃんも流石に辛かったのか眠っちゃってるしね。


「…はぁ、食器の片付けでもしようかな」

「大変ですねぇ」

「うわ!」


また不意に抱きつかれたと思ったら、今度はミザリーさん。

ま、また悪酔いしちゃってるんだね…


「ミザリーさん、結局悪酔いしちゃうまで飲んだんですね…

 その…3人とも酔っちゃうと相手に抱きつく癖でもあるんですか?」

「んー…」


なんて聞いても、殆ど酔ってしまってるミザリーさんが理解できるか怪しいかな。


「…無い筈なんですけどね、本来は」

「あれ? 普通に喋れるんです?」

「完全に酔ってるわけじゃ無いんですよね~」


酔ってないなら、そもそも抱きついてこないと思うんだけどね。


「……ねぇ、エルさん…約束して欲しいんです」

「約束?」

「はい……あなた達は…死なないでくださいね…?」

「どう言う…」

「私は頑張って出世しました。受付嬢としての仕事を頑張って…

 でも、本当は仕事を依頼した人が帰ってきてくれる。その為に頑張った。

 その人の実力に合うだけの仕事を選別して…あまり表には出しませんけど

 裏では凄く気を使ってて、結果その技量を認められ、専属の受付嬢になりました」


普段はそんな風には見せないけど、実際は凄く色々と考えててくれたんだろうね。

万が一に備えてエルフ達に協力要請もしてたみたいだし。


「でも、専属になってから…死ぬ人が増えたんです」

「……」

「取り扱う依頼の関係上…死者は増えます…それでも私の場合は死亡率は低い方でした。

 誰かを死なせてしまっても、私は評価されたんです。複雑でした。

 普段は表に出さないように振る舞ってましたけど、ちょっと静かになるとね…」

「そうなんですか」

「だから私…依頼に付いていくようにしたんです。死んで欲しくないから…

 だから…あなた達は死なないで欲しい…

 それに今は…人類に敵対する魔術師とか団体とかが増えてますし…

 だから、余計に心配なんです…」

「……死にませんって、断言は出来ないんですけど…でも、きっと死にません。

 だって、ミザリーさんも守ってくれるんです。そう簡単には死にませんよ。

 それより、今は楽しい気分でしょ? こう言うときくらい騒いでください。

 楽しい時間に不安を抱くのは良くないでしょ?」

「……そうですね、ありがと……すぅ…」


あ、眠っちゃった…うん、これで今日は本当におやすみだね。

もう良い時間だし、私も皆に布団を掛けた後、食器を片付けて眠っちゃおう。

そうだなぁ…5時には起きたい、で、食器の量から考えて…

うん、1時間は眠れるね、これだけ眠れれば満足だよ。

で、5時に起きた後に食器を洗って、全部後片付けしなくっちゃね。

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