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裏切り少女のやり直し~200年後の再挑戦  作者: オリオン
第4章、異常なアンデッド達
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サモナーの夢物語

「ガルムは相変わらず甘いわね」

「逃げ惑う奴を追いかけるのは趣味が悪いだろ?」


勇者の特性から考えてみれば、相手を殺さなければならない。

勇者は殺した相手から経験値を奪い、自分の物に出来るんだから。

それなのに、相手を殺さないというのは特性を活かせず、成長も出来ない。


「勇者の特性くらいは知ってるでしょ? 殺さなきゃ成長出来ない」

「殺す必要のない相手を殺してまで成長したくはないって」

「甘すぎる、それじゃあ魔王に勝てない」

「それは…まぁ、分かってるんだけどな…」


勇者様は自分の特性のことは良く分かってる筈なんだ。

それなのに、勇者様は率先して魔物を倒しに行こうとはしなかった。

流石に避けようのない場合は倒したり、殺したりはしているけど

そう言った場面を除けば、殺そうと動いたりすることはなかった。


今まで勇者の話は少しくらいは聞いたことがある。

だからこそ、勇者様のこの性格が普通の勇者とは違うことが分かる。

本来はあり得ない程、異常に優しい性格…これが勇者様の首を絞めなければ良いけど。


「でも、私は気に入ってる…サモナーだから」

「サモナーだったら優しい性格を気に入るってどうなの?」

「……召喚獣ともだちは魔物に近いから」

「あ-、そう言えばそうね、召喚獣って魔物に近いんだっけ。

 そんな奴を操って戦うって、考えてみればサモナーって異常よね

 となると、リンカ、あなたも異常って事かしら?」

「サモナーは可能性…」

「可能性? あんたは何言ってるのかさっぱりね」

「ユリ、自称最強の魔法使いでしょ? 考えて」

「魔法とサモナーって違うじゃないの!」

「魔法文字使うし、結構似てる」

「まぁそうだけど…うーん、でも私は召喚出来ないのよね、魔物」

「技術の方向も違うし、それに少し魔物に近い存在じゃないと出来ない」

「あー、つまりあなた達サモナーと、ヒュースト位じゃないと無理なのね」

「僕も無理だよ、召喚は…そもそも僕の場合は魔法文字知らないし」

「ユーリカは馬鹿だからね、と言うか、そうなるとエビルニアは使えそうよね。

 あなた、魔王の娘なんでしょ? 魔物に近いじゃん」

「うーん、試してないから分からないけど…」


私は魔王の娘。これでも魔物の血が半分以上は入ってるはず。

一応、試してみれば出来るかも知れないけど、やってみようかな。


「…はい、出来た…けど」

「うーん、相変わらず綺麗な魔法陣ね…どうすればそんなにすぐに

 そこまで綺麗な魔法陣を描けるのか、相変わらず謎ね」

「ん…何も出ない…やっぱり殆ど魔物だと無理なのかも?」

「でも、エビルニアは何となく人間っぽいよな。魔力量とかもさ」

「あはは、そ、そんなにないからね、私」

「はぁ、本当あり得ないって思うけど、マジでないのよね魔力。

 何であそこまで魔力量低いのに魔法をあそこまで連発できるのよ。

 絶対インチキしてるわ、魔物の何かあるんでしょ、魔力を溜める宝石とか」

「な、無いよそんなの、あったら私が欲しいくらい。それに説明したじゃん。

 魔法陣を丁寧に描けば描くほどに魔力の消費が抑えられるって」

「それは分かるんだけど、あなたみたいに高速展開できないから

 実用性は微妙なのよね…ぐぬぬ、どうすればあんなに素早く魔法陣が…」

「はぁ、しかしお前ら、難しい話してるよな。俺にはさっぱりだぜ」

「あなたも勇者なら魔法くらい覚えなさい!」

「い、一応基礎魔法は扱えるって! 基礎魔法くらいは…な」

「ったく、この私が教えて上げてるってのに魔法を覚えようとしないんだから」


勇者様は魔力量が結構あるのに、魔法を覚えようとしないからね。

仲間を盾にして戦うくらいなら、俺が戦うぜ! とか言ってたしね。

完全に前衛タイプだよ。勇者様は自分が重大な存在だって気付いてないのかな?


「くぅ…しかし何でエビルニアが教えた基礎魔法は扱えるのに

 私が教える魔法は駄目なのかしら」

「それは単純にユリが物事を教えるのが下手なだけ」

「はぁ!? 私に魔法を教えてくれた師匠よりは遙かに上手いと思うけど!?」

「ユリの師匠と比べたら駄目」

「確か殆ど教えてくれなかったんだっけ…」

「そうよ! あのババア! 魔法はほら、自分で考える方が大事じゃからとか言って!

 ある程度魔法陣の扱い方を教えただけで、後はほぼ何も教えてくれなかったんだから!

 それなのに教える礼に部屋の掃除とかの雑用やらせるとかマジ馬鹿よね!」

「まぁまぁ、それでもそんなに強くなったんだし良いじゃねぇかよ」

「それは私が天才だったからです-! あのババアは関係ないわ!」


実際ユリは天才のひと言に尽きるよね、頭も良いし。

魔法も多種多様な魔法を扱う事が出来る。

広く浅くのタイプの魔法使い。私とは正反対だなぁ。

私の場合は狭く深くだから、完全に真逆だよ。


「全く、普段全然どうでも良い雑学やら世間話ばっか垂れ流して。

 今頃どうしてるかしら、寒さで震えてるのかしらね? ふふ、ざまぁ無いわ!

 ったく、料理とか出来るのかしらあの婆さん…まぁ、暖まってれば良いけど!」

「……ユリ、文句ばかり言ってるけど、ぜってぇお前、その師匠大事にしてるだろ」

「はぁ!? 何で私があんなババアを大事にしなくちゃなんないのよ!」


うん、そこは自覚ないんだね…これが噂に聞いたツンデレって奴かな?

心配性な所もあるし、根は凄く優しいよね。


「あ! てか話逸れたわ! リンカ! サモナーは可能性ってどう言うことよ」

「あ、覚えてたんだ」

「ふん、あんな意味深なことを言われたら、そりゃ覚えてるわよ」

「…ん、まぁユリが頭を捻っても分からないだろうから答える」

「ひと言多いわね…まぁ良いわ。

 あなたの考えと私の考えが同じであるわけが無いからね。

 私の普通はあなたの異常で、あなたの普通は私の異常なんだから。

 どちらにせよ、言葉を交わさなきゃ分からない物よ、心読めないし」

「言い訳が長い」

「うっさい! 良いから喋りなさい!」

「はぁ…サモナーは魔物に近い召喚獣と協力して戦う。

 これだけでサモナーの可能性は分かると思うけど」

「いや知らないわよ、そんなの」

「……魔物と人類が仲良く出来る可能性があるって事」

「はぁ!? あんな知性の無い化け物と仲良く!? 頭の中お花畑なの!?」

「……へ」


ユリの言葉を聞いたリンカがすぐにその言葉に笑って返した。

どうもあざ笑ってるように見える。


「な! 馬鹿にした!? 今馬鹿にしたわよね!?」

「馬鹿にした、視野が狭い魔法使いを私は心の底から馬鹿にした」

「な! い、いい加減怒るわよ!?」

「…魔物にも知性がある。エビルニアも魔物だけど私達に協力してる。

 ヒューストであるユーリカも魔物に近い存在。それも協力してる。

 知性がある魔物は存在する。そして、協力することも出来る。

 なら、魔物と人が手を取り合う可能性だって当然存在する」

「はは! 良い事言うじゃ無いか! 確かにそうかもな!

 俺達が歩み寄るってのも悪くないかも知んねぇな!

 そう言う可能性が存在するってんなら無茶も上等ってね!」

「…相手はほぼ獣なんだけど…?」

「犬も人を救う。獣にも心はある。なら、可能性は0じゃない。

 そもそも私が居る。魔物に近い召喚獣を使役出来るサモナーの私が。

 私が存在している。それ自体が魔物と人が手を取り合える可能性その物」

「何よそれ、自画自賛か何か?」

「違う、事実。サモナーが居るって事は魔物と人が繋がる可能性があるって事」

「…はぁ、恐ろしい程の夢物語ね」

「夢を語らない魔法使いは魔法使いなの?」

「……この、いちいち癪に障るわね…良いわよ! その夢、ちょっと位見てやるわ!」

「…ん、その夢のために頑張ろう。魔王を倒さないと叶わない夢だし」

「魔物を操ってるのは今んところ魔王だからな、よし、頑張るか!」

「夢物語が、本当にただの夢で終わらないことを祈るわ」



……だけど、その夢は潰えた。私が潰した…私が全てを壊した。

私が…私を信じてくれた人達の夢を全て踏みにじった。

自分自身が見た絵空事と共に、私はその夢を踏みにじる。




(エビルニア、あなたは人であるべきでは無い。あなたはこちらに居るべきなの。

 あなたの居場所はここにある。あなたの世界は…私達と共にあるの。

 あなたは魔王の娘。勇者を殺した獰猛な魔物。知性の無い野獣。

 あなたの居場所は…私達の側にしか無い。あなたはまた夢を見て

 その夢を再び自分自身で破壊し、踏みにじるというの?

 それが嫌なら…もう夢を見ず、私達の元に来なさい。あなたの居場所はここにある)


……そうかも知れない、もう一度同じ様な思いをするくらいなら

私は私が本来居るべき場所で死ぬべきかも知れない。

……だけど、何故だろう。私は夢を諦めきれない。


サモナーも滅び、魔物と人が手を取り合える可能性すら存在しないこの世界で

どうして私はまだこの夢を見たいと思うんだろう。

……自分自身で破壊し、踏みにじった夢だというのに。


「……ふぁぅ…あ……眠ってたんだ」


いつの間にか机に伏せて眠ってたんだ…はぁ、何してるんだろう私。

……机がべちゃべちゃだよ…折角拭いたのに…私、本当に何してるんだろう。

私は何がしたいのかな…自分が壊したのに…全部私が壊したのに。

なんでまだ、自分自身で壊した夢を見ているんだろう…本当に馬鹿だ…

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