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大事な自己紹介

「ふぅ、まぁ完全にその場の流れとはいえ、あなた達の担当になったわ。

 改めて自己紹介と行きましょうか。私はリスデット・セイクリット

 最初にも言ったけど、私の事はリトと呼んでちょうだいな」


Sランク冒険者…実力は良く分からないけどどれ位の手練れなんだろう。


「リト姉ちゃんって凄いんだよね? Sランクだし」

「まぁね、一応は」


Sランクって言うのがどれ位の実力でなれるかは分からないけど

依頼書でクエストを軽く確認した感じ、結構危険な魔物がSランクだった。

アンデッドでも危険な部類である死鬼がそのランクに名前があったからね。


死鬼は非常に凶暴な性格で、その能力もかなり危険なんだよね。

斬り付けた相手に継続的なダメージを与える呪い見たいな能力があるしね。

しかもこの呪いは、掛った相手にバフや回復とかを行なうと

サポートをした対象にまで呪いが移るって言う厄介な性質もある。


サポートだけで無く、接触しただけでも移るから非常に凶悪な能力。

解呪する為に、普通は死鬼を撃破する必要があるからこれも面倒なんだよね。

更に動きは機敏だし、最悪の場合1個体だけで国を滅ぼすほどの魔物。


まぁ、私達は対処方を知ってるから脅威でもないけど。

死鬼の呪いを解呪する魔法を知ってるからね。

痛みに耐えながら緻密な魔法陣を組む必要があるから人類には難しいけど。


「討伐実績ってあるんですか?」

「そうね、ブレイカーの討伐が2回、死鬼の討伐が5回…

 まぁ、危険度が高い奴らはこれ位? あ、後クリムゾンデッドを1回」

「クリムゾンデッドって何?」

「クリムゾンタイガーの上位種って言えば良いのかしら?

 でも、人型に近いし、知能も高いから別個体とも言えるかしら」

「危険度ってどれ位なの?」

「SSランクだったはずよ」

「おぉ! スゲー! リト姉ちゃんスゲー!」

「クリムゾンデッドは相性とかあるからね。

 私の戦闘スタイルと相性が良かったってだけだけどね。

 ブレイカーの2回も同じ理由よ。一撃特化だからこそ勝てたって事ね。

 つまり、もしもクリムゾンタイガーと戦った場合は勝てるか微妙よ」

「そうなの?」

「えぇ、ブレイカーは防御力が厄介だから一撃特化の攻撃が効果的だからね。

 クリムゾンデッドの場合は高い再生能力が厄介な魔物だから

 一撃で相手を潰せる、私の攻撃と相性が良かったと言う事よ」

「へぇー、リト姉ちゃんの武器って何なの?」

「あぁ、ちょっと待ってね。マジックバックに仕舞ってるから」

「マジックバックって何?」

「簡単に言えば空間転移の魔法をバックに仕組んでる感じだよ。

 確か賢者が考案した魔法で使用者の魔力を利用して繋げてるんだって。

 中々面白い事を考えるよね、魔法陣を鞄に貼り付けて維持させるってさ」


賢者の数は人類に少ないみたいだけど、

彼らの魔法技術は一般人のそれとは一線を画してる。

勇者様と一緒に冒険をして居た魔法使いも賢者だったからね。


正直、彼らの技術にある魔法陣の維持を他者の魔力で行なわせる技術は凄い。

私達には出来ない技術だし、本当に普通の人間とは魔法技術のレベルが違うよ。


「よく知ってるわね。で、この鞄ってレアだから

 実はSランク相当にしか支給されてないのよね。

 多分、あなた達にも支給されるとは思うけど勝手が良いし無くさないでね。

 じゃ、お見せしましょう私の得物を!」


嬉しそうにリトお姉さんは魔法の鞄、マジックバックから武器を取り出した。


「……デカ!」


リトお姉さんが取り出した斧はデカい、その一言に尽きる巨大な得物だった。

もしかしたら、自分と同じくらいかそれ以上の大きさを誇ってる。

しかも先端は鉄で出来てるから、その重量は凄まじいと思う。

それをリトお姉さんは笑顔で取り出してる…しかも片手で。


「ま、これが私の得物って奴よ。シンプルだけど強力なのよ」

「ブレイカーを倒せる人間ってだけで、相当なのにこの巨大な斧を軽々と…

 ほ、本当に人間かどうかって疑うレベルなんですけど」

「まぁ、純粋な人間ではないからね、私の場合」

「どう言うことなの?」

「半分くらいは巨人族なのよ私。そんなに背は高くないけど

 怪力は遺伝したって感じなのかしらね」

「どう言う…」

「先祖に巨人族がいたってだけの話よ。

 で、私はセイクリット家で1番の怪力

 最も巨人族の血が反映されてるのがこの私って事よ。

 だから、魔法はそこまで得意じゃないわ。

 と言っても、魔法は扱えるけどね、身体強化の魔法を」

「それって、結構技術が…」


それに、身体強化魔法はかなり個人の才能に左右される魔法でもある。

魔法が得意な人間でも習得には苦労するはず…

なのに、半分は魔法が苦手な巨人でありながら身体強化魔法を習得?

そ、そんな馬鹿な事って…


「そうよね、かなり習得するのに苦労したわ、10年以上かしら」

「10年以上も掛るの!? じゃあ、エルちゃんは3才の頃から強化の魔法を」

「強化の魔法? え? 何!? 使えるの!?」

「あ、は、はい」

「…はぁ、これは驚いたわ…なる程、これが才能という奴か」


私の場合は才能と言うよりは、知ってたって方が近いけど…

ま、まぁエビルニアとして過ごした長い時間があるからね、私には。

色々と使えなくなった魔法は多いけど、基礎は覚えてるから速いんだろうね。


でも、本当に凄いのはリトさんの方。

半分巨人でありながら、習得難易度が高い身体強化魔法を扱えているんだから。

それがどれ程難しい事か…不可能に近い偉業としか言えないよ。


「因みに私に掛ける事って出来る?

 いや勿論、他者を強化するのは自身を強化するより遙かに難しいのは知ってるわ。

 でももしほら、使えるとしたら、私も結構」

「えっと…はい、他者を強化する事も出来ます」

「…はぁ、これはすごいわね…勇者候補に挙がるだけはあるわ」


私の技術はかなり上位に組みするからね、あくまで人類の中ではの話だけど。


「まぁ、あなたの実力が未知数なのは分かったわ、うん。

 魔法使いって事よね…能力的には賢者レベルだけど。

 ま、まぁうん、細かい話はその内聞くとして、今は自己紹介の続きね。

 えっとまぁうん。私の自己紹介はさっき言った程度ね。

 一応、あなた達の自己紹介もお願いしたいんだけど」

「うん! あたしはリズって言うよ! あ、フルネームはリズ・ヒストリー

 お父さんとお母さんは歴史の研究をしてる学者さんで勇者の事を調べてるよ!」

「特別両親が戦闘能力が高いというわけでは無いのね」

「うん、学者さんだからね、でもお母さんは凄い強いよ。

 あまり戦わないけど、体力は私と同じくらいあるかも」

「へぇ、魔物の血が混ざってる一家というわけではないのね」

「うん、そんな話は聞かないなぁ」


リズちゃんの身体能力や適応能力はかなり高いと思うけど

魔物の血が混ざってるとか、そんな雰囲気は感じないんだよね。

どっちかというと、リズちゃん自身の才能だけであそこまでなってる感じがした。


鋭い第六感から、もし魔物の血が混ざっているとしたらドラゴン種の可能性があるかな。

でも、ドラゴン種の特徴をリズちゃんは持ってないから

完全に自分自身の才能だけであの適応能力を得ているって感じる。

それに努力家でもある所から考えても、末恐ろしいって言うのは間違いないよ。


「えっと、じゃあ次は私ですかね。私はエリエル・ガーデンと言います。

 リズちゃんや皆からはエルって呼ばれてます。

 父親は兵士で部隊の指揮や前線での戦闘も行なってます。

 母親は専業主婦で、美味しい料理を毎日お家で作ってくれます」

「ガーデンって性と指揮官相当の兵士…ジェルさんの娘さんかしら」

「お父さんを知ってるんですか?」

「えぇ、有名だからね。兵士達の実力の向上には彼が一役を買ってるからね。

 努力家であり、カリスマ性も持ち合わせている。

 私も一目を置いてる人物よ。でもなる程、彼の娘さんね。

 あまり魔法が得意って雰囲気はなかったけど、才能が似る訳では無いって感じかしら」


お父さん、やっぱり実は凄いことをしてるんだなぁ。

お父さんはあまり仕事の話はしないから知らなかった。


「なる程なる程、色々とありがとう。うん、有意義な時間だったわ。

 じゃあ、これからよろしくね、2人とも」

「うん!」

「…そうだ、ミザリー、あなたは自己紹介とかしなくて良いの?」

「今は必要無いと判断しました。そもそも、自己紹介って意味あるんですか?」

「信頼関係を築く上で自己紹介は重要な入り口だからね」

「はぁ…まぁ、私はまだ良いです。では、ひとまずこの後のあなた達の生活について

 多少お話しをさせていただきます。

 勇者候補であるおふたりと、その指導役であるリスデットさんは

 しばらくの間、同じ部屋で過ごして貰います。

 この城にある1室にて生活をお願いしますね」

「お家には帰れないの?」

「はい、しばらくの間は。とは言え、最初の1ヶ月だけです。

 それ以降は自由にご帰宅していただいても構いません」

「じゃあ、なんで最初の1ヶ月は」

「最初の1ヶ月は勇者候補としての教養などを付けてもらいますので。

 冒険者としてのしきたりや、生き残る為の術など色々と学んで貰います」

「え!? が、学校卒業したのにまたお勉強!?」

「こちらの事情で早く卒業させてしまったので学び切れてない事は多いでしょう。

 なので、勇者候補として絶対に覚えていて欲しい事を私も付きっ切りで教えます」

「うぅ…お勉強嫌だなぁ…」

「ま、仕方ないわよ。それに1ヶ月だけだし、頑張りましょ?」

「うん…」


リズちゃんはあまり乗り気じゃ無さそうだけど、渋々了承した。

うん、必要最低限の知識は欲しいもんね、私も頑張ろう。

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