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卒業試験は無事に合格することが出来た。

あの後、学校に帰って校長先生に完了したことを伝えた後

私達は無事に卒業証書を受け取る事が出来た。

本来ならあり得ない、13歳での卒業。


何で私達がそんな卒業を急かされたのか

それは後日、すぐに分かる事になった。


「今日は早速お城でクエストを受けよう!」

「そうだね」


クエストはお城で発行されていて、受けたいクエストを選んで

お城のカウンターにいる受付の人に渡したらそれで完了。

クエストを受けるときには学校を卒業しておく必要があるから

卒業と同時に貰ったペンダントが必須になる。


「うーん…確か依頼の危険度って沢山あるんだよね」

「うん、F~SSSだったっけ」

「どれどれー、巨人の討伐…危険度SS!?」

「あ、ブレイカーとかそこら辺だね」


人類は巨人族に対して有効的な攻撃手段が少ないからね。

単体でも追い込まれるほどだし、危険度が高いのは納得出来るかな。


「く、クリムゾンタイガー…危険度A……」

「意外と低いんだね…やっぱり油断は禁物って事だね」

「……あれ? 実はエルちゃんって凄く強い?」

「そんな事無いよ、クリムゾンタイガーだって

 リズちゃんと一緒に戦ったから勝てたみたいな物だし」

「ブレイカーはエルちゃん1人で倒してなかったっけ…」

「あれは相性だよ相性」


ブレイカーはまぁまぁ機敏だけど、的が大きいから

アシッドスネークとポイズンスネークが効果的だったってだけだしね。


「うーん、でもなる程、だからあたし達が貰ったペンダントは赤なんだね」


赤色のペンダントはAランクの依頼を受けることが出来るペンダントだっけ。

Sランクは銅、SSランクは銀、SSSランクは金

これらのペンダントが必須だったって聞いたし。


「ん~、何々、お嬢ちゃん達~ここは小さい子が来て良い場所じゃないぞ~」

「お、お姉さん…」


私達が不思議に見えたのか

髪の毛を後ろでまとめている赤髪のお姉さんがやって来た。

…ふ、服が…殆ど露出してるよ、隠れてないよ、ほぼ下着だよ…

鎧っぽい…だけど、鎧としての意味が無いよ! 殆ど裸だよ!


背は高いし、スタイルは良いし、首には銅のペンダント。

装備的には前衛職って感じだけど…

殆ど裸だよ!? 前衛だけど、一撃食らったら死にそうだよ!?


「何~? 私の顔に何か付いてる?」

「あ、いや…その…」

「お姉さん殆ど裸だし、お顔真っ赤だよ? 恥ずかしいなら服着たら良いのに」

「り、リズちゃん!?」

「あっはっは! ガッチガチの鎧とか動きづらくてしょうが無いでしょ!

 私はこれでも冒険家だし、基本旅すんだよ? あんな体力消費するだけの

 飾りして歩くくらいなら、最低限の場所だけ鎧着けて歩くって!」

「でも、お顔真っ赤じゃん。恥ずかしいんじゃないの?」

「うぃ~、これはね~、仕事終わったからお酒飲んでただけよ~!」


な、何だか凄い大胆というか、力強い人だなぁ…

でも、やっぱり服が…テイルドールお姉様みたいに露出酷すぎるよ。

あ、そう言えばミルレールお姉様もこんな感じだった…胸は出てなかったけど。


うーん、前で戦ったりする人って、こんな服装をするのが普通なのかな?

でも、ブレイズお姉様はガッチガチの鎧だったと思うんだけどなぁ。


「で~、お嬢ちゃん達はどうしたの~? 学校へいきなさぁ~い」

「学校はもう卒業したんだ」

「え~? 見た目はまだ中学生くらいじゃないの~」

「ふふん、これを見てよ!」


リズちゃんが自分の首に掛けてた赤いペンダントをお姉さんに見せた。

お姉さんは目を擦りながら、そのペンダントを凝視した。


「……はぁ!? Aランクのペンダント!? 嘘!? 中学生で!?

 じゃあ、あのエリート学校の卒業生!? 中学生位なのに!?」

「そうだよ! 何だか昨日卒業することになったの!」

「は? そんな馬鹿な…よっぽどの特例?」

「はい、そうなりますね」


私達が話していると、受付嬢の1人が私達に話し掛けてくれた。

彼女は士官みたいな服装で、運動が出来る感じではなかった。

見た目は高校生くらい…かな。茶色く短い髪の毛に茶色の瞳。

手には少し大きめの書類があった。


「え? あなたは誰?」

「はい、本日よりあなた方専属の受付嬢となりました

 ミザリー・ウォルターと申します」

「せ、専属!? そ、それってSSSランク相当でようやく付くんじゃ」

「凄い事なの?」

「えぇ…でも、あまりにも酷いわ! それってつまり…この小さい子達に

 危険な依頼を押付けるって事じゃないの!」

「危険な依頼!?」

「はい、特殊な依頼が多いので専属の受付嬢が付くんですよ」

「そんな話し…」


あのお姉さんの表情から、危険な依頼というのが半端な物じゃないことは分かった。

きっと今まで以上に命の危険がある魔物と戦う事になるんだ。


「でも、この子達をみすみす殺すわけにはいかないわ。

 酔った勢いとはいえ、彼女達と会話をしたのも何かの縁。

 彼女達が死んでしまうと分かっていて、何もしないわけにはいかないわ」

「し、死ぬの!?」

「実戦経験も何も無い様な子供が高難易度の依頼なんて受ければ間違いなく死ぬわ」

「彼女達は既に実戦経験を終えています。ブレイカーの討伐実績。

 彼女達…正確には、そちらの白髪の少女、エリエルさんですがね。

 彼女が他の兵士達を凌駕するほどの実力を示し

 ブレイカーを圧倒したと聞いています」

「この子がブレイカーを!? 嘘、SSランクよ、危険度…」

「そして、リズさんと共闘しブレイカーとは違う特異種の討伐も行なったとか。

 彼女達の実力はこの国でも上位クラス。勇者候補として上がりました」

「勇者候補って…」

「そのままの意味です。勇者である可能性が高い人物と言う事ですよ。

 現状、魔物が活発だというのに勇者と特定できた存在は居ません。

 なので、暫定でも決めていき、国民に安心を与えようという事ですよ。

 ご理解していただきましたか? リスデットさん」


私達が勇者候補…そんな突拍子もない話が…


「いやだ」

「リズちゃん?」

「それは、どう言う意味ですか?」

「あたしは勇者なんて嫌だって言ってるの!」


さっきまで明るく振る舞ってたリズちゃんの表情が真剣に変った。

リズちゃんは本気で勇者が嫌だって言っている。

理由は…分かる。避難所の時…


「誰かに押付けて、自分じゃ何もしようとしてない人達のために戦うなんて嫌だ!

 辛い思いをしてたり、本気で頑張ってる人を助けたいけど

 何もしようとしてない人を助けたくは無い! 助けられても悪口しか言わない!

 そんな自分勝手な人達の為に戦うなんて嫌だ!」

「そうは言われましても、これは国王様の決定です。

 それに安心してください、暫定なので勇者というわけではありません」

「でも、どっちにしても何もしようとしない人達の為に戦うんでしょ!? そんなの!」

「…あぁ、そう。まぁ、まだ小さい子だし、そう言う考えもするのか」


リズちゃんの言葉を聞いた後、リスデットさんは小さく頷いた。


「これはあくまで私の考えとして聞いて欲しいんだけど

 私達は何も出来ない人達の為に戦ってるのよ、うん」

「どう言うこと?」

「何もやらないって、つまり何も出来ないに等しいのよね

 心が弱いって言うか、精神面が脆弱って言うか、そう言う人達は何も出来ない。

 だけど、それ以上に何かやりたくても出来ない人って言うのは必ず居るわ。

 不特定多数の中には必ず。私達はそう言う人達の為に戦ってるの。


 それに、本当に何もしてない人って極少数なのよね。

 殆どの人は戦う以外の方法で誰かの役に立ってる。

 私達が出来る事が戦うという事だけで、私達はそれをやってるの」

「何かをやってるからって、頑張ってる人の悪口を言って良い理由になるの?」

「良い理由にはならないかしらね、勿論」

「だったら!」

「じゃあ、悪口を言っちゃう人達は助けないの?

 もし本当にそんな事が出来るとすれば、あなたが何もしない人になる位よ」

「どうして!」

「誰かを助ければ、結果として救った人以外も助ける事になるからよ。

 勿論、その救った人以外の人の中にはあなたが嫌う人も居るでしょうからね。

 自分の行動には必ず自分が望む結果以外の何かが付いてくる物よ。

 

 それに、そんなまどろっこしい選別をしてたら守るべき人も守れない。

 自分の好き嫌いの為に、好きな人を殺す事になるわ。

 だから、そんな面倒な選別は止めてまとめて助ける方が楽なのよ」


リズちゃんはその言葉を聞いた後、小さく頷いた。

自分の行動には必ず自分が望む以外の結果が付いてくる。

これはきっとその通り…要らない物は絶対に付いてくる。


「……エルちゃんは…エルちゃんも、そう思う…?」

「うん、望み通りの結果だけが付いてくる事なんて無いって私も思う」

「でも、嫌じゃん…あたし達を助けてくれた人を悪く言う人達を助けるなんて」

「でもきっとその人は、私達が知らない人を助けてると思うよ」

「恩人を悪く言う人が?」

「うん。本人にその意識は無いかも知れないけど、誰かを助けてると思う。

 それにさ、助ける人を選んでる余裕はきっと私達には無いよ」

「……エルちゃんは、勇者になりたいって思う?」

「うーん、思わない…かなぁ…憧れるし、大好きだけど…

 私が…私なんかが勇者になんてなれるわけ無いし、なろうとも思わないよ」

「じゃあ、どうして?」

「やりたいことがあるから。私の場合はそれだけだよ」


強くならないといけないから…お父様を倒すために強く。

危険な仕事をするって言うのは恐いけど

でも、私の能力の性質上、強い相手の魔力を奪わないとお姉様達にも敵わない。

私は奪うために戦う…やっぱり、私って凄く酷い奴だよね。


「……分かったよ、じゃあ、あたしもエルちゃんの意見に従う。

 勇者にはなりたくないけど、あたしもやりたいことはあるから!

 色々な人を助けて、努力が結ばれるって証明したい!

 あたし、やりたいこと沢山あるね…だから、頑張る!」

「…ふふ、それで良いと思うわ。やりたいことがあるって良いわよね」

「はぁ、ではつまり、勇者候補として仕事は受けてくれると言う事で良いですか?」

「うん…そうする」


良かった…リズちゃん、何とか受ける事にしてくれたんだ。

もし、リズちゃんがそれでもいやっていったら…私、どうしただろう。

リズちゃんと一緒に勇者候補を辞退してたのかな…それとも、1人で?

いや、そんな事を考えても分からないかな。


「はぁ、一安心です…あ、それとリスデットさん」

「何?」

「あなたにはこの2人の保護者として一緒に依頼受けてもらいますから」


唐突に告げられた言葉にリスデットさんは驚愕していた。


「……はぁ!? 聞いてないんだけど!?」

「それはそうでしょうね、今思い付いて言いましたから」

「あなたが決められるの!?」

「えぇ、国王様からも私が信頼出来ると感じた相手を

 担当勇者候補の指導としてパーティーに入れる様承っています。

 で、私はあなたを信頼に値すると感じ、今、あなたに申し込んだと言う事です。

 Sランク冒険者ですしね、丁度良いでしょう。実績も十分です。

 所で、リステットさん。未報告の依頼がいくつかありますよね?」

「え? いや、あれは大体その場のノリで行動したから、申告する必要は無いと」

「依頼先で急遽勝手が変った場合、こちらに報告をお願いするように伝えてますよね?

 その報告から対象の評価を決めるのですから、しっかり報告していただかないと。

 それと、あなたはこれから勇者候補の指導役として行動して貰う分けなので

 そう言った報告は忘れないように気を付けてください。

 この報告は勇者候補の実力を測る為に必須なのでよろしくお願いしますよ」

「え? 私は断るとか出来ないの?」

「出来ますけど、断るんですか? あれだけ言っておいて?」


ミザリーさんが悪い笑みをリスデットさんに向ける。

その笑みを見た後、リスデットさんは少し冷や汗をかきながら私達の方を向いた。

リズちゃんはそんなリスデットさんの目を見て、にこりと笑う。


「……そ、その…私で良いの?」

「うん!」

「そ、そう…あなたは?」

「はい、私もリスデットさんと一緒が良いです」

「むー、出会って間もないのに随分とまぁ…いや、私が言えた口じゃないか。

 あれだけ言っちゃったからね…はぁ、分かった、分かったわ!

 先輩としてあなた達の指導をしっかりとしてあげるわ!」

「はい、ありがとうございます。じゃあ、色々と書類を」

「うぇ、ま、マジ…?」

「パーティー内で1番の年上がそう言った書類の処理を行なうのが普通ですしね」

「うぅ、これは忙しくなりそうね…あ、でも書類の前に1つ指導を行なうわ」

「指導…どんな、教訓とかですか?」

「そう言うのは後で考えるから、まずは私の事はリスデットでは無く

 リトと呼ぶように! 同じ仲間なんだしまずは距離を縮めることが大事だしね」

「はい、分かりましたリトさん」

「オッケー! リトお姉ちゃん!」

「う! か、可愛い…胸がきゅんとしたわ、良いわね妹って…」

「勇者候補に手を出さないでくださいね?」

「出すわけ無いでしょ!? もう、さっさと書類よこしなさいよ!」

「はいはい、分かりました」


これから大変な事になりそうだけど

それ以上に、楽しくなりそうだなぁ。 

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