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第四十五回

 この日の教授は機嫌がよかったから、それが上山には幸いした。コトは思惑通りに運び、上山は研究所を退去した。

 家に戻ると、上山はかなり気疲れしている自分に気づいた。上がりかまちへヨッコラショ! と腰を下ろして、フゥ~っと溜息をついたとき、幽霊平林が現われた。最近、決めごとにしている現れ方で、上山の背後からである。

『課長!』

 上山は一瞬、ギクッ! とはしたが、現れたか…という馴れ気分で後ろを振り向いた。

「なんだ、さっきは。何も云わず消えたじゃないか」

『すみません。どうも、あの教授、苦手なんですよ』

「そうか? 口は荒いが、いい教授なんだがなあ」

『それは、生前から僕もよく知ってますよ。度々(たびたび)、通ってたんですから…』

「だろ? だったら…」

『ええ、そうなんですよ。いい教授なんですけど、なんか苦手で近寄りがたいところがあるんです』

「君の被害妄想だろう。私なんか、なんともないぞ。まあ、少し気は遣うがな」

『もういいじゃないですか、その話は。それより、どうなりました? 例の話』

「ああ、アレなあ…。上手くいきそうだ。つくだ教授に会えることになった」

『えっ! そりゃ、よかったじゃないですか。すると、機械が我が社で生産されるってことに?』

「いや、それは、まだどうなるか分からんがな。なにせ、開発した佃教授の腹積もり一つだからなあ」

『はあ…、そりゃまあそうですね』

 幽霊平林は、少しもの静かになった。上山は靴を脱ぐとリビングへ移動した。掛け時計は昼を少し回っていた。

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