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三章 第百回

「ははは…、君に首はないがな」

『あっ! そうでした』

 二人(一人と一霊)は陰陽のコントラストを描いてニヤけた。その後、二人はお互いに、うち解けて雑談に花を咲かせたあと、ごく自然に別れた。それは次の日にも、すぐ合えるかのような別れだった。明日、いや今日のすぐ後にも、永の別れになるかも知れない…という潜在意識が、返って別れの意識を遠避とおざけようとした、とも云えた。

 二人が別れ、その日は事もなげに過ぎ、そして三日ばかりが流れたとき、霊魂平林についに第二の昇華の兆しが起こった。そしてとうとう、上山に別れを告げることなく霊魂平林は生来した。平林の場合、霊界での死去は人間界へ生まれ変わることを指す。ただ、生まれたというよりは、生を宿した・・と表現した方がいいだろう。宿主は上山の元部下で岬の妻の亜沙美である。亜沙美には、すでに一人の子がいるが、平林はその二番目として生を宿したのだった。もちろん、そのことを上山は知るよしもない。コンタクトを取るには呼び出すしかない…と、上山は思うのだが、呼び出すほどの真新しいニュースは報じられない日々が続いていた。この時点で、上山は平林を呼び出したとしても、今までのように平林が現れない、いや、現れることが出来ない状態で、すでに昇華を終えているなどとはつゆほども思っていなかった。

 一方の平林は亜沙美の胎内にいた。平林にしてみれば突然、意識が遠退き、気づけばどうも昇華したみたいだ…とは思えていた。ただ、もう霊体ではない不便さはあった。時折り、この宿主しゅくしゅである亜沙美の声や岬の声が聞こえ、どうも聞き覚えのある声だぞ…と思った。この宿主が同じ課員で元部下の亜沙美で、その旦那が岬だと平林が知るのは、もう少し先のことである。そしてそれは、ひょんなことからだった。

 快晴の一日を思わせる庭の霜柱が上山の寝室から見下ろせた。上山がベッドの置時計をおもむろに見ると、六時過ぎを示していた。

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