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三章 第七十六回

『そりゃまあ、そうですが…。すぐに、どうのこうのってことはないと思いますし、次回までには…ってことで。こちらも出来るだけ急ぎます。僕の身も第二段階に入れば、もう課長とお話も出来ませんから』

『ああ、分かった。出来るだけでいいから、ければ訊いといてくれ』

『はい!』

 幽霊平林の声だけが、上山の耳に響いていた。幽霊平林が去ったかどうかは、すでに上山には分からない。ただ、途切れた会話が続くことなく、静寂だけが半永久的で、その不確かさがふたたび確かさとなり、幽霊平林が去った事実を物語るだけなのだ。

「まあ、なんとかなるさ…」

 そう捨て置いて、上山は洗面所へ行き歯を磨いた。この行動は上山が日課としている個人行事である。その後、上山は寝室へ向かった。少し眠気がしてきたのが不思議だったが、疲れの所為せいだろう…と、この時の上山は軽く考えていた。

 一方、霊界へ帰った幽霊平林は、ふたたび霊界番人を呼び出していた。

『本当に!! そのほうは、このわしを何だと思っておるのだ!! こうも簡単に呼び出されては、儂の諸々(もろもろ)に差し障りとなるゆえ、そなたに授けられた如意の筆を返させるよう霊界司様に頼まずばなるまいて…』

『いや、もうしばらく、お願い致します。私も昇華している身なれば、いずれにしろ、そう長くは、この筆を所持していることもないと思いますので…』

『ああ…、それはまあ、そうじゃがのう。して、今は何用じゃ。別れたのは、つい今し方ではないか』

『はい! 実は、先ほど上司のことをき逃したもので、おたずねしようかと…』

『ほう、どのようなことじゃ?』

『上司の記憶は、どうなるのでございましょう? 僕が…いや、私めが見えなくなったと今は申しておりますが。…私めが完全に二段階のショうかを終えたのちのことでございます』

『おお、そのことか…。そなたの記憶は、すべて消え去るであろう。そなたの方は、昇華を終え生誕したのち、しばらくは残る、と申したとおりじゃ』

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