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第三十回

「はい! よろしくお願いします。それと亜沙美さんとの挙式は六月辺りにしようと二人で決めましたので…」

「なんだ! そっちの方が重要な話じゃないか。ははは…、まずは、その話だろ?」

「いやあ…、どうもすいません。つい照れくさかったもんで」

 席を立つと、笑いながら二人はレジへ向かった。

「いや、私が払っとく。…そうか、六月な。考えておこう…」

「ありがとうございます」

 レジは上山が払い、二人はキングダムの前で別れた。辺りは既に六時を回り、薄暗くなっていた。

 上山は七時前に家へ帰着した。八時に現れてくれ、と幽霊平林に云ってある手前、それまでの一時間で風呂に夕食などを済ませるとなると結構、忙しい。まあ、夕食は外食で済ませていたから、風呂上りの一杯くらいだったのだか、それにしても訪問者があるのだから、これはもう、心が騒いでくつろげるといったものではなかった。ただ、飲み食い不用の相手だけに、準備の手間は省けた。とりあえずは風呂へ浸かり、疲れを取る。今日は岬の話を聞いていたこともあるが、幽霊平林が現れたことで上山は相当、疲れていた。人のいるところへ現れるというのは、どうも困るのである。ようやく風呂から上がると、すでに二十分は経過している。七時に慌てて入り、二十分の風呂では、疲れなど取れたものではない。しかし、八時に幽霊平林は現れるのだから、それまでにいつもの一杯を…と下卑た根性が顔をもたげた。別に重要な客が来るというのではないのだから、そう意識するすることもないのだが、それでも幽霊平林には意識が走る上山だった。慣れたとはいえ、目に見えないものが見えるということもある。四十分では酔いが回るほど飲めたものではない。

 幽霊平林が現れたのは、きっかり八時だった。

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