三章 第二十七回
『ああ、そうでした。課長の身が危うい』
「危うくはないんだろうが、不安だ」
『何をゴチャゴチャお前達は云っておるのだ。…まあ、そういうことゆえ、お前達の今後の行いが改まったと霊界司様がお認めになれば、自然とその者の状態は元に戻るであろう』
『はは~っ!!』
幽霊平林は、ふたたび頭を地につける土下座の仕草を空中に漂いながら始めた。
『では、儂は行くゆえ、新しき手立てを考え、世の社会悪をなくせ』
『はは~っ! 社会悪をなくします』
幽霊平林は相変わらず土下座姿勢のまま浮かんでいる。彼がここまで低姿勢なのは、このまま幽霊として成仏できないとどうしよう…という恐怖が付き纏っていた。
霊界番人の声が遠退いて途絶え、光の筋が消え去ったあとも、しばらく二人(一人と一霊)は、そのままの姿勢を崩さなかった。霊界番人が去ったあと、漂いながら無言を続けた幽霊平林と固まって座る上山だったが、二人とも今後のことは少なからず考えていた。
「まず、方法を考えんとな…」
『ええ…、温室効果ガスも独裁者も駄目ってことで…』
「ああ…。そうだ! 私の後輩に塩山という男がいるんだが、話してみてもいいな。奴は私と同じ大学出で、時間研究とか心霊研究とか、いろいろやってた風変りな男でな」
『時間と心霊研究? なんか、僕達の周りには妙な人物が多いですね』
「ははは…、私達の存在自体も不気味で妙だぜ。まあ、君が云うとおり、霊動学の佃教授、心霊学の滑川教授なんかもいるからなあ…」
「その人に一応は相談してみて下さいよ、一応は」
幽霊平林は塩山のことを、まったく知らなかったので、お茶を濁した。




