二章 第九十四回
「シリアですよ、シリア! シリアで暴動が!」
「シリア? ああ、エジプトの近くの国か?」
『そうです。そのシリアで暴動が…。昨日のソマリアの時、ついでに寄っとくんでした』
「そりゃそうだが、昨日は起こってなかったんだからな。だいたい、君の念力ってのは、有効範囲が何キロとか、ないのか?」
『いや、そこまでは僕も調べてないので分からないんですが、その国へ現れないと日本からじゃ駄目だってことは分かるんですよ。ですから、有効範囲が何百キロとか、あることはあるようです』
「随分、ファジーなんだな」
『ええ…、どうもすいません』
「君が謝るこっちゃないが、シリアで、そんなことがか…。こりゃ、ソマリアの結果待ちなどと悠長に構えてられんな。私は明日、会社があるから、君だけでも現地へ行って念じてくれ! 応急措置だから、今回の正義の味方は君に任す。事後報告で構わんから」
『そうします。霊界番人様に訊かれりゃ、そう云っておきます』
「そのお方様には、君の行動はお見通しなんだな?」
『霊界番人様じゃなく、霊界を支配されている霊界司様は、たぶん、すべてお見通しかと…』
幽霊平林は少し慎み深い口調で語った。
「まあ、そんなことはいいさ。それより今の話、頼んだぞ。それと、もうひとつ、アフリカで他に紛争が起きている国を探して欲しい。私はアフリカ以外を探すから」
『はい、分かりました』
「いやあ~、今日が日曜でよかったよ」
『はあ、すみません、朝早くから』
「ああ、それはいいんだ。しかし、すっかり目が醒めちまったなあ。それに疲れも、ふっ飛んだよ」
『じゃあ、僕はこれで。今日は忙しくなりそうです。シリアに現れるのとアフリカの調べですから…』
「ははは…。そんなこと云わず、よろしく頼む」




