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第二十一回

 ヒョイ! と幽霊平林が現れたのはトイレである。さすがに彼も課内では迷惑だと感づいたのだろう。丁度、上山が用を足しに入ったとき、他の社員がいなかったこともある。

『課長! 二日ぶりです』

 小便を足していた上山も、意表を突かれた感は否めない。まさか、ここには…と思って入り、リラックスして垂れ流していた矢先、後方からの声である。一瞬、尿意を喪失し、小便は止まってしまった。驚いて首だけ振り向くて、「驚いたぞ、ゆ…いやひらさん」と、上山は素っ頓狂な声を出した。

『すみません。さっきから機会をうかがっていたんですが、皆、いますしねえ…』

「だが三日前までは、無遠慮に現れたじゃないか」

『ええ、それはまあ…。でも僕なりにご迷惑だと思いまして…』

「ほう、それはありがたい。まあ、出来るだけ、その心づもりで頼むよ」

『はい…。ところで、おとといの、いや、三日前になりますか。早いですねえ、日の経つのって。…そんなことは、どうでもいいんでした。それで、いいお考えとか手立ては浮かびました?』

「いいや、それがなあ…」

 上山が話しかけたとき、人の近づく気配がした。上山はあわてて用を足し終えると、洗面台へ向かった。幽霊平林も瞬間、消えた。入れ違いに入ってきたのは同じ課の岬で、小便器に向かい、洗面台の上山に気づいた。上山は手を洗っていた。

「ああ、課長! この前は、どうも。よろしくお願いします」

「おお、岬君か。分かった分かった。じゃあ、また…」

 そう云いながら、上山は手をエアーブロワで乾かした。ブロアの派手な音がした。

 上山がトイレを出て課へ戻る通路を辿ると、幽霊平林がどこからともなく現れて、上山の横をスゥ~っと並行して進む。

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