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第二十回

 そう云って、コーヒーカップと注文伝票をさりげなくテーブルへ置くと、ウエイターは去った。

「そうか…。じゃあ、ありがたく引き受けるとしようか。なにせ、同じ課の祝いごとなんだからなあ…。断る訳にもいかん。それじゃ詳しいことは、また改めて聞かせてもらおう」

「ええ、そうさせていただきます。どうも、ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 岬に従い、亜沙美も上山に礼を云って軽く頭を下げた。

 しばらく雑談を交わして、三人はキングダムを出た。この話にしても、順調にまとまったのは幽霊平林が現われなかったのが主因であることは云うまでもない。しかし、上山にしてみれば、岬と亜沙美相場の話ではなかった。残された一日で幽霊平林と自分との奇妙な現実の究明方法をなにか考えねばならないのだ。今のところ、考えは浮かんでいないし、手懸りらしきものもなかった。まったく関係ない仲人話が舞い込んだことで、上山は、なんとなく集中できない気分におちいっていた。上山が読み進めた『霊視体験』もこれといったヒントにはならず、図書館へ返すつもりでいた。考えも浮かばず、借りた本も役に立つほどではないとなれば、これはもう、はっきりいって上山としてはお手上げである。幽霊平林の方も一応、考えておくとは云っていたから、奴に任せるか…と杜撰ずさんに考えたりもした。そして、はきつかぬ考えで悶々としながら次の日も暮れた。

 翌日は、いよいよ幽霊平林が現れる日である。上山はビクビクもので、仕事ぶりも以前の上山に戻っていた。そのことは日々、仕事を共にしている課員達が一番よく知っていた。昨日きのう一昨日おとといとは違い、まったく落ちつきがないのである。時折り、自分の席のまわりを見回す素ぶりに、その落ちつきなさが浮き出ていた。

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