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二章 第九十回

 時計の針は九時過ぎを指していた。すでに上山の服装は準備した探検服に帽子姿で、食糧等の入ったリュックや水筒もあり、万事に抜かりはない。上山は頃合いに思え、左の手首をグルリと回した。至極、当たり前のように、幽霊平林が格好よくパッ! と現れた。

『課長! おはようございます』

「やあ、おはよう。…って、もう九時、回ってるけどね」

『業界的に云っただけですよ』

「ははは…、君は幽霊で芸能人じゃないんだから」

『ええ、そりゃまあ、そうです。挨拶ですよ、単なるご挨拶です』

「ああ…。そんなこたぁ~どうでもいいんだ。私はいつでもOKだぜ、君さえよけりゃ」

『一応、ソマリア空港の資料は霊界万れいかいよろず集で綿密に調べてありますから、空港へ現れることは、ほぼ可能かと…』

「霊界万集って?」

『あっ! 課長にはまだ云ってませんでしたかねえ?』

「いや、聞いてない」

『そうでしたか。霊界に弔文屋ちょうもんやという店があるんですが、そこで入手した書物でして、人間界で云う百科事典をさらに詳細にしたようなもんです』

「ふ~ん。霊界にも結構、俗っぽい店があるんだね」

『俗っぽくはありませんが、すべてが人間界と似通ってますね』

 上山は陽気に、幽霊平林は陰気に笑った。

 その五分後、『では!』と、少し緊張ぎみの陰気な顔で、幽霊平林は如意の筆をおもむろに手にした。上山にすれば一瞬、緊張がみなぎる。幽霊平林は馴れたような顔つきで両のまぶたを閉ざすと、なにやら念じ始めた。ソマリアへ二人が移動することを念じていることは上山にも分かる。その上山にとっては、今回が二度目のSFまがいの移動であった。だから、まったく馬鹿げた作り話などとは思えないし、だまされているとも思ってはいなかった。

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