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二章 第七十二回

 上山が食事を終え、食堂から屋上へ上がってきたとき、幽霊平林は霊界の住処すみかで止まっていた。

「なんだ、…云っておいたのに、まだ来てない。いや、現れてないじゃないか…」

 上山は腕時計を見ながら愚痴っぽくつぶやいた。幽霊平林は忘れていた訳ではない。一端、霊界へ戻ったものの、そろそろ人間界へ現れねば…とは思っていたのだ。しかし、悪くしたもので、そのとき霊界番人が通りかかり、住処の出口で出会ってしまったのである。霊界を支配する霊界司の意を受けた霊界番人を無碍むげに無視は出来ない。だから、対峙して応対する以外にない幽霊平林だった。彼は課長を待たせているんじゃないか…と気忙きぜわだった。おなじく、人間界の屋上にいる上山も気がいていた。昼休みも残り三十分弱になっている。

「なにしてんだ、あいつは!」

 ふたたび愚痴っぽく呟いてみた上山だが、残念なことに、彼から幽霊平林にコンタクトする方法がなかった。

 幽霊平林が遅れて屋上に現れたとき、上山の昼休みは残り十五分ばかりになっていた。

『すみません! 霊界番人様にバッタリ出会いまして、仕方なく…』

「霊界番人さんか…。そりゃ仕方ないんだろうな」

 霊界の事情を云われた日にゃ、上山は沈黙する他はない。さっぱりアチラのことは分からないからだ。

『そうなんですよ。僕らを支配するお方のつかいですからね』

「ああ、霊界司さんだったな…。で、効果の方はどうだった?」

 上山は幽霊平林の胸元に挟まれた如意の筆を指さして、そう云った。

『あっ! そうでした。いやあ~、なんと云いますかねぇ、効果は絶大で、某国の軍隊がハチャメチャでした、ははは…』

「んっ? 君は時々、訳の分からんことを云うな。某国の軍隊がハチャメチャ? そりゃ、どういうことだ?」

『どうも、すみません。僕は軽率で駄目ですね。課長が分かってらっしゃるものと思って話してました。実は、これを試そうと、某国の軍事パレードで、やったんですよ』

 幽霊平林は胸元の如意の筆を指さした。

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