表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/338

二章 第五十三回

「君は律儀だからな。その…ほれ…、なんとか云ったな。ああ、そうそう、平林だったか? その者と同じで日に三回。いや、君も忙しいだろうから、朝晩の二回でいい、報告してくれまいか?」

「分かりました…」

「それじゃな…」

 滑川なめかわ教授の電話は途絶えた。そしてすぐ、上山はマヨネーズのキャップをはずし、吸いつくように口にした。夜も更け、誰もが寝静まろうとする頃、上山は自分の変化を確認しようとしたが、出来るべくもないことに気づいた。当の幽霊平林を呼ばない限り、結果は分からないのだ。呼んで彼の姿が見えれば効果ゼロ、見えねば効果があったということになる。

 さすがに、その晩は疲れていたのか、上山は幽霊平林は呼ばないことにした。呼ぶ方法は以前と変わっていない。左手首をグルリと一回転させるだけで事は足りた。そんなことで、いつでも呼べるんだから…と思うと、気分が緩んだせいか眠気に襲われた上山は、いつしか微睡まどろんでいた。

 次の日は上手い具合に日曜だった。上山はあわただしく朝の諸事、具体的には食事の準備、片づけ、家の雑事なのだが、それらを済ませ、左手首を故意にグルリと回した。予期したように当然、幽霊平林は格好よく現れた。彼が現われたといえるのは幽霊平林の姿が上山に見えた訳で、それが残念なのか残念でないのかは別として、中位相処理されたマヨネーズ効果は、まだなかったのである。この段階ではマヨネーズ効果が、まったくないのか、あるいは一度のみゆえ効果が出ていないのか・・は、上山に分からなかった。

「やっぱり、見えるよ」

『そうですか…、残念でした。…って、僕としては嬉しいんですが…。じゃあ、また…』

 気遣づかってか、幽霊平林は、すぐ消えた。

 結局、上山は何度か口にしてみたが、幽霊平林の姿は、やはり見えた。それは中位相処理されたマヨネーズが霊界の幽霊平林には効き、上山には駄目だということだった。上山としては、これで当分は幽霊平林と付き合える訳なのだが、彼を手助けして社会悪を滅ぼす、という正義の味方を演じなければならないのだから、痛しかゆしというところだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ