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二章 第三十回

「はい、そうです。その土を分析しておりますと、偶然にもこのマヨネーズと成分が完全に一致したんですがな」

 滑川なめかわ教授は、つくだ教授の前へ、手に握った一本のマヨネーズを差し出した。

「ええっ! マヨネーズと土骨粉がっ?! 本当ですか!」

「ははは…、教授のあんたに嘘を云っても始まらんでしょうが」

「はあ、、そらまあ…。もう少し詳しくご説明になって下さい」

「そうでした。詳しく云いますと、マヨネーズの中に含まれるある種の細粒物質と土骨粉に含まれる、ある物質とが、まったく一致したのです」

「ははは…、そんな馬鹿な! 土とマヨネーズが、ですか? ははは…、あり得ない話です」

「いや、そう云われるのは分かるんですがな。これはまぎれもない事実ですから…。まあ、私が冷静に考えるに、恐らくは舞台寺ぶだいじのアノ場所だけだ、とは思えとるんですがな」

 滑川教授は、そう云い終えると、顎髭あごひげを右手指で撫でつけた。

「マヨネーズの成分と土骨粉のとある物質が一致したとして、私は何をすればよろしいんでしょう?」

「それそれ! 実は、このマヨネーズに教授の研究所にある霊磁波ビームを照射すればいいんじゃ・・と、考えましてな。それでお邪魔した訳で」

「ああ、霊磁波ビーム装置を、ですか? お安い御用です。で、その目的といいますのは?」

「霊界と人間界の間の中位相に、これを変化させよう、という訳ですがな。そうなれば、これを上山のナントカいう幽霊に手渡せるのでは、という私の考えですが、いかがですかな?」

「なるほど! いや、私も今回のことは、人間界と霊界との間にゆがみが生じ、霊動臨界に達しているのではないかと考えていたんです。中位相物質に変えることは、なかなかの発想ですね」

「いやあ、そう云われますと、いささか照れますなあ、ははは…」

 滑川教授は、珍しく相好を崩し、陽気に笑い飛ばした。

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