二章 第二十三回
『はは~ん。だから、でしたか。だったら、消えますよ』
「いや、いいよ。ことのついでだから、君も傍で聴いていてくれ」
そう云うと上山はドアを開け、第一会議室へと入った。入ったのは上山が先だが、入ってドアを閉じた時には、すでに幽霊平林は透過して室内に現れていた。
「ここなら気がねなく話せるな。実は、滑川教授から午前中に電話が入ってな」
『何か分かったんですか?』
「ああ、どうもそのようだ。周りに課の者がいたから、あとでこちらから、かけ直すと云ったんだ。どうも、君と私の奇妙な現象に影響する物質が、あの土から発見されたらしい」
「舞台寺の土ですね?」
「ああ、そうだ。なんでも細粒物質とか云っておられたが…」
『それで、これから電話を?』
「まあ、そういうことだ」
上山は、ことの仔細を幽霊平林に説明し、携帯を耳にした。
「おお、上山君か。もうそろそろ、かかってくるだろうと、蕎麦にしたよ」
「えっ? なんです? ソバ?」
「いや、ハッハッハッ…。ザルソバだよ、食べる~」
教授が汁に付けて啜っているのだろう。その音が上山の携帯に伝わってくる。別に蕎麦にしなくてもいいんじゃ…とは思えたが、変人の滑川教授の機嫌を損ねては拙い、と瞬時に思え、「ははは…、そうでしたか」と、上山は軽く応じた。
「ところで、昼前にお話になった細粒物質なんてすが、どういったものなんでしょう?」
上山は核心に迫った。幽霊平林も、プカリプカリと離れて漂っていた位置から、スゥ~っと近づいて、耳を欹てた。




