9話 幻影
いやーモチベーションがここまで沸いてくると楽しいものですなぁ
「えっと、調査員の方は…」
指定された場所に着き調査員らしき人を探していたのだが
「あれ、カルマだ」
「んー?あ!レノヴァ!やっほー」
カルマがいた
「あれ、もしかして先行調査員って…」
「クレメンタインってばそんな説明したの?そうだよ、だから昨日調べものがあるって言ったんだよ」
先行調査員がカルマならクレメンタインが実力を保証した理由も頷ける
「それなら心強いです、それで、調査をする方は」
「んーとね」
そう言って少し離れた方を指さす
「あそこにいる子、なんだけどさ、その、まぁ、見てもらった方が話しやすいかな」
そう言われ刺された方向を見る
そこには依頼書道理の15歳ほどの女の子、と少しほつれた服、というか布をまとった同じく15歳ほどの少年が遊んでいる、というかもしかしてだけど
「普段遊ぶ子はいなくて遊ぶなら幻影だけらしいんだけどさ…」
「あれを幻影、というなら見えすぎてる、見えな、って聞いてたんだけども…」
本来見えないはずの幻影が見えているという現実に頭を悩ませる
「カルマさん、そちらの方がもう一人の調査員の方ですか?」
少し悩んでいると後ろから声を掛けられる
「うん、そうだよ、レノヴァっていうんだ。レノヴァこちらはあの子のお母さんのイルルさんだよ」
「こんにちは、レノヴァさん今回は依頼を受けていただきありがとうございます」
イルルという女性はそういって頭を下げる
「そんな、こちらも興味がありましたのでお気になさらず」
「イルルさん、あれが娘さんだよね?」
そう言ってなお男の子と遊ぶ娘に目を向ける
「えぇ、あれが娘のアリスです、今もおそらくファントムと遊んでいるのでしょうが、私たちにはその存在が認知できず…」
女の子はアリスというらしい、それより
「ファントムというのは幻影のことですか?」
「ええ、幻影と呼ぶのもかわいそうですし、そう呼んでいます」
この母親は非常にやさしいのだなと感じるだが、それだけでは説明できないのだ、なぜファントムを実在するものとして扱っているのか
「見えないのに認識はしているようですが、それはなぜです?」
「ですよね、これは口外していないのですが、実はファントムと暮らしているのです
ご飯を出せば食べますし、お風呂にも入っている様子です、意思疎通は筆談で可能ですがいかんせん顔を見てみたいというのが私たち夫婦の願望でして…」
なるほど、周りから認識はされないが干渉は可能らしい
「あの、実はなんだけど、見えてるんだよね、私たちには」
カルマがそう打ち明けると、イルルは目を見開いた
「本当ですか!?」
「ええ、アリスさんと同じ年ほどの男の子が」
「なら依頼して正解でした、お二人なら、どうにかしてくださるかもしれない、どうか、二人をよろしくお願いします」
そう言って再び頭を下げるイルルに二人で改めて承諾した
「アリスってあなたのこと?」
談笑している様子の二人にカルマと共に近づく
「はい、そうですけど、何か用ですか?」
アリスは疑念の籠った声色で返事をする
「私たちはあなたのお母さんから依頼を受けてきたんだよ」
そういうと小さくため息をつきまたか、という表情をした
「又ですか、正直に言いますが今まで依頼を受けた人たちもあなた達も、どうせふーくんのことなんて見えないんですよ、みんな軽蔑の目で私を見ては適当に話して帰っていきました。なので、すぐ帰ってもらていいですよ」
どうしてクレメンタインから提示された金額があそこまで大きいのか理解できたここまで諦めた少女とどうやっても見えないファントム、相当失敗しているのだろうからあそこまで跳ね上がったのだろう
そう考えながらファントムに近づく
「ちょっと、そっちにいるんです、ふーくんあんまり近づかないで、」
「ふむ、君がファントムなのか、こんにちは、私はレノヴァという、突然だけど少し触らせてくれよ?」
そう言って手や肩、足を触る、姿かたちは確かに存在しているだが、内面上の何かが欠如しているように感じられる、恐らくこれが原因で認識できないのだろう
「あ、え、僕が、見えるの?」
「うそ…」
驚きの表情を作る二人、15年探し続けた見える人、がいるのだから当然の反応ではある
「そうだよ、だ、か、ら、今までの人と一緒にしないで私たちを信じてほしいな!」
そうして、レノヴァの初依頼が始まった
ファントム君とアリスちゃんのこれからの物語をお楽しみに!




