14話 ビーフシチューと好きの自覚
「メニュー、なんかやたらごはんしっかりしてるね、ここ」
ごはんメニューに目を通すがサンドウィッチをはじめとした軽食どころか定食まである
「そう、もうカフェ名乗ってるけどレストランよここ」
少し苦笑いしながらアリスが言う
「それで、何にするの?カルマ」
私好みのものはすべてレノヴァが作ってくれるから特に食べたいものはないのだが
「あ、これにしよっかな」
だがやはり好物は好物ここはやっぱりビーフシチューだ
「カルマビーフシチュー好きよねぇ」
「実はさ、レノヴァが初めて私に作ってくれたのがビーフシチューだったんだ、その時まで食べ物なんて興味なかったんだけど、持ってきてくれた目がすっごく綺麗でさ、そこからかな、ビーフシチューが好きなのは」
あの時のことは今でも覚えている、いろいろな神に教わったそうでちょっと汚れた頬とエプロンでとびっきりの笑顔で来た彼を、ちょっと焦げていたけど初めておいしいと感じたその味を
「大好きなんだね、レノヴァ君が」
ビーフシチューの話のはずなのにいつの間にか彼の話になっていた、こういうところが今まで出ていたのかな?
「そ、それは置いといて、アリスは何にするの?」
アリスにそう聞くとメニューをじっくり眺めて
「唐揚げ定食!」
そう言ったのだった
「うん、さすがは名店のビーフシチュー美味しいね」
お互い少しずつ分けながら食べ進める
「知ってるカルマ?唐揚げってね、神様なんだよ?」
「聞いたことないけどね、唐揚げ神」
そんな軽口を言い合える友達ができたことがうれしい、だってみんないつも子ども扱いして生暖かい目で見てくるもん
「私のビーフシチューもだけどアリスもから揚げ好きだよねぇ」
私のビーフシチューと同じくらい唐揚げが好きなアリス。私のイメージの15歳ってスイーツとか好きだった気がするから尚驚き
「いやぁ、ふーくんが好きで一緒によく食べるから自然に好きになっちゃったんだよねぇ」
類は友を呼ぶというかカルマがレノヴァをこうも好きならアリスもファントムをこうも好きなのだ。
「私たちって意外と似てるよねぇ」
「付き合っているかいないかの違いだけだね!」
その違いも無くしちゃいましょ、と協力する気満々のアリスを頼もしく思う、本当に、隠す必要がなければ今すぐにでも抱き着いてしまいたい。好きと伝えるのは簡単だが…いややっぱ難しいかも、でも女の子としては一回くらい告白を受けてみたい
「じゃあ終わったらあいつをオトすためにいろいろ買いに行っちゃおー!」
時を同じくしてレノヴァとファントムは…
「あ!レノヴァ、お待たせー」
今日はカルマとアリスが出かけると言っていたのでせっかくならファントムと出かけようとなったのだ
カルマをサンクトゥムと共にもこもこにしてそのあとに着替えたレノヴァは赤い薄手のセーターに濃い目の緑の上着を着ているズボンは無難な黒だ
ひと月前に能力が解かれてからそもそも操れていなかったファントムの認識疎外は解かれている
「ごめんねー付き合わせて」
対するファントムはアリスに着せられたのだろう青いシャツに紺の上着少し短めのズボンにロングブーツを合わせている
「いやいや、僕もすーちゃんいなくて暇だったし、誘ってもらえてうれしいよ」
あれから一か月がたって二人ともずいぶん仲良くなれた特にファントムとは気が合うのだ
「じゃあ行こうか」
とりあえず近場のファミレスに入る、やっぱり安くてたくさん食べれるのはうれしいところだ
「いらっしゃいませー二名様ですね、あちらへどうぞ」
よく見る4人掛けのソファ席に向かい合って座る
「はー、やっぱりこれくらいの雰囲気が居心地いいんだよね」
変に気を使わない相手と、変に気を使う必要がない店、この雰囲気がいい
「今日二人は通りのカフェ行ってるらしいよ」
「ほう、あそこってちょっと高かった気がするんだけど」
「女の子たちにはそっちの方がいいみたい、まぁ、僕たちはよほどのことがない限りこういうところがいいよね」
ああいうところってちょっと疲れるんだ、と共感しながらメニューを見る
「やっぱり唐揚げかなぁ、レノヴァは?」
先に決め終わったようでファントムが聞いてくる
「ビーフシチューにするよ、注文しちゃおっか」
それぞれメインとサブメニューを決め注文する
「レノヴァーおまたせ、はい、どうぞ」
ドリンクバーにまぁ楽しみにしててよ、と不穏な言葉を残しコップを奪われたレノヴァの前に置かれた飲み物は以外にもまともそうな見た目だった
「…安心して、コーラ、だよ」
そう言われ安心して口に含む、が口に含んだとたん現れたのは味の大渋滞だった
「あははは!ウーロン茶とジンジャーエールで割った、ね!」
完全にしてやられた、これは何時かやり返さなければ
「ごめんって、というかさ、レノヴァってビーフシチュー好きだよね」
微妙に話題をそらされたがこの恨みは絶対に忘れない
「あー、そのカルマに初めて作ったのがビーフシチューでさ、カルマはその時のことは忘れてるだろ受けど作ったからか好きになってくれたみたいでよかったよ」
忘れもしないいろいろな神に聞いて回ったせいで教えるための渋滞が発生するほどみんな熱心に教えてくれた、それまで職に興味がなさそうだったカルマもその時から徐々に興味を持ってくれたようでうれしかったのを覚えている
「ふーん、ねぇ、レノヴァはさ、好きなの?カルマさんのこと」
好き、そういわれた瞬間体が固まる、確かに彼女のことは意識しているだがそれは好きというそれというよりか、家族への気持ちのようだ、だがそこにある何かがわからない
「好き、というより家族への思い的なのに近いと思う、でも最近ちょっとわからないんだ」
「と、申されますと?」
妙にニマニマしながらファントムが聞いてくるがその笑みには触れずに続ける
「なんというか、一緒にいると、もっと居たいという、か、そう思うっていうか」
自分の顔が熱くなっているのを感じるきっと、そこそこ赤くなっているのだろう
「もしかして、私カルマのこと、好き?」
目の前のファントムはその問いに静かに頷くのだった
気づいちゃったねぇ!レノヴァ君さぁ!




