エピローグ クォーターエルフはヘタレワンコ王子につかまりました
最終話です。
本当にグーレラーシャ傭兵国の男ってどうしょもないよね。
レゼ、愛してる〜と朝から抱き上げまくってるヘタレわんこの脇腹をつつきながらため息をついた。
あの後、もちろんしらばっくれて? 馬に乗って飛行艇に乗って王都ラーシャに、実家の王宮のガナリス部屋群に帰ってきましたよ……ルーに抱きあげられたまま。
二人が……主に私が短い髪になっていたのを両親や祖父母をはじめみんなびっくりして怒り狂ってたよ、髪はグーレラーシャ人の命だからね、なだめるのが大変だったよ。
一番怒ってたのは弟のナルファリスでその組織も美容師もこの世から痕跡なくしてくるって恐ろしかったのでなだめるのが大変だったよ。
「それより先にルアティウス王子殿下を消さないとでしょうか?」
ナルファリスが物騒な事を腕組みしてつぶやいてどこか空間を見てるのが怖い。
未来の内務担当大臣はガナリスの影と闇の方もよく使えるらしいから、さっさと止めないと、ルーがやばい……?
あの後、どっからかのタレコミでパイナ草原国で闇組織が大々的に摘発されたらしい……そして、ルーたちが逃げたのは、大々的に国を上げて歓迎会されると面倒くさいので逃げたらしいよ……密入国じゃなくて良かったよ。
何でも同じ時期に黒猫軍師王子殿下の傭兵チームが麻薬関係で潜入してたらしくて、任務前の打ち合わせがやばい規模で面倒くさかったんだってさ、独身王子がいると愛の狩人さんたち? がいっぱい出るらしいです。
アキュア聖王国の例のお嬢様は厳重に本国に抗議して強制送還されたみたいです。
ルーにすごく怯えてたって聞いたけど……何したんだろうね?
そして、例の怪しい男が捕まってないらしいのも気にかかるんだよね。
私を檻に入れた時点ではいたけどガナリスの闇の人が潜入した時はすでにいなくて、パイナ草原国の警護隊も捕まえられてないらしい。
最近、パイナ草原国きな臭いよね、まあ、いいや、とりあえず問題はあれだ、ほとんどのグーレラーシャ女性が経験するという……ときには外国人にも被害が……まあ、しょうがないけどさ。
「行ってきます」
「姉さん、気をつけて」
最近、私は諦めてアパートを引き払って王宮のガナリス部屋群に出戻った。
両親も弟も今回の事で超心配かけたし、なんと言ってもあれが……好きって言っちまった手前拒否しづらいんだよね。
幼年学校と傭兵学校の間の礼法学校でも受け入れた以上きちんとするのが正しいグーレラーシャ女性ってリカディア先生も指導してたし……
扉を開けるとオレンジ色髪を肩までにそろえて一本縛りにしたルーが腕を広げて待機してた。
美丈夫わんこ王子の迎えに思わず閉めた私、悪いかな?
レゼ? レゼルテア? どうして閉めるんですかぁ〜
えーと……裏口から仕事行こうかな……
「姉さん、面倒くさいので徹底的にヤッテやってください」
「う……うん」
恥ずかしいけど、頑張って見るよ。
そっと開けると水色の瞳がうるうるしてた。
まったく、強くなってもいつまでも泣き虫なんだから〜。
最初にあったときも柱の影で縮こまって泣いてたもんね。
「ルー、仕事行きたいんだけど」
「愛してる、レゼ、仕事大事なのはわかってるけど、愛してるんだ」
水色の瞳のウルウルになんか昔を思い出してポリポリ頬をかいた。
「わかってると思うけど、私、ルー……ルアティウスの背中を守れないよ」
「うん、わかってる」
私の背中を守れるのは君だけだと言うのがグーレラーシャ傭兵国最高のプロポーズだけど、戦闘能力ないもん、残念ながら。
「それでもよければ」
「私の腕の中に一生いてください」
ちゃんとレゼの仕事とか優先するからと泣き虫の私の王子様がポロポロ涙をこぼした。
しょうがないなぁ……もう。
「うん、私で良ければ一生一緒にいて」
といった途端ルーに抱きあげられた。
泣いてるルーの頭をなでながら思ったのは店長、ごめん確実に遅刻だよぉ〜ぅておもってたのはナイショだ。
その日はどうしても離れないルーのせいで本当に遅刻しちゃって店長についに捕まったかと生暖かい目でため息をつかれたのが超ダメージだったので仕事にはついてくるなとこんこんとその日の帰り迎えに来たルーにさとした。
店長さんはお仕事第一だよねって頷いてくれたのに、なんで男心がわからないって目でルーの護衛の葡萄色の制服の王族警護官や通りがかりのおっさんとかに言われなきゃいけないのさ?
まあ、グーレラーシャ傭兵国の女に産まれたからには覚悟を決めて愛する男の腕の中にどーんと構えている時はいるけどね。
やっぱり、社会人としてTOPは大事だと思うんだよね。
グーレラーシャ傭兵国の明正和次元門がある立派な国家だし、王都ラーシャも外国人も異世界人もそこそこ来てる国際都市なんだしね。
「レゼ、大好きだよ」
「うん、わかってるからなめない口付けない、イチャイチャは公共の場は避けよう」
ああ、なんかラブラブのグーレラーシャカップルみたいに街の道を抱きあげられたまま通るのって恥ずかしいよー。
そこの熟年夫婦とか専業傭兵らしいカップルの女の人みたいに抱きあげられて当たり前って思えるまでルーお願いだから程々にしてください。
愛してるけど、まだまだまだまだだきあげまくられるの恥ずかしい〜。
そう思いながら子供抱きされてたんで短くなってしまったルーの一本結びにした髪の揺れる肩に顔うずめた。
その後、ナルファリスがルーの排斥をかなり真剣に計画してるのを止めたり、ルーのお姉さんのノア姉さまとルーの従姉妹の考古学冒険者のアイ姉さまがお祝い〜と騒いだりとあった時はちょっと別れようかなと思ったけど……ウルウルでヘタレワンコ王子に負けて今でもルーの腕の中にいる。
背中は全然守れないけど、超弱いけど、ずっとルーの腕の中にいさせてください、でも仕事の時は離してほしいです。
読んでいただきありがとうございます
備考
〇〇部屋群 貴族家名+部屋群 とは
グーレラーシャ傭兵国王宮はいくつもの中庭のある砦方式の建物であり傭兵国最後の防衛ラインのため、王族の領域ほか高位貴族も護りとして中庭をはさみ屋敷並みの規模の部屋たちを賜っている、有名どころはヒフィゼ部屋群やドーリュム部屋群、その他王宮には職員の寮等や売店、食堂等あり一つの街の様相である、ただし、防衛のため中庭は基本的に王族と王宮警護担当官以外は、許可なく立ち入りは禁止されているため、入ると捕まる。