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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
光が収まった時。
深層書庫は静寂に包まれていた。
崩れていた本棚は元に戻り、黒い霧も消えている。
雫はゆっくり目を開けた。
「……終わった?」
玲がすぐ駆け寄る。
「雫!」
その声に、胸が熱くなる。
ちゃんと覚えている。
玲のことを。
雫は涙を浮かべながら笑った。
「……覚えてる」
玲は一瞬だけ目を見開き、安堵したように息を吐いた。
だが。
その瞬間。
雫の身体がふらりと揺れる。
「っ……」
視界がぼやける。
栞がすぐ異変に気づいた。
「まずい」
雫の腕が、透け始めていた。
再編は成功した。
でも代償は消えていない。
ハルが静かに言う。
「時雨堂はまだ、彼女を求めてる」
書庫主は消えていなかった。
本棚の奥。
巨大な影が、まだこちらを見ていた。
『代償は必要』
低い声が響く。
空気が再び重くなる。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




