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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「私……?」
雫は理解できなかった。
栞は本棚を見つめたまま言う。
「空白は、失った記憶の集合体」
「じゃああの子は……」
「消えた“朝比奈雫”の欠片かもしれない」
背筋が寒くなる。
つまり。
記憶を失うたび、自分の一部が分離している。
玲が低く言った。
「考えすぎるな」
だがその声は硬い。
本当は玲も知っているのだろう。
この先に待つ結末を。
その時。
時雨堂のベルが鳴る。
入ってきたのは、中年の女性だった。
疲れた顔。
痩せた手。
彼女の本が、勝手に棚から落ちる。
『真田由紀 42歳』
ページが開く。
『彼女は今夜、娘を殺す』
雫の呼吸が止まった。
「嘘……」
栞が静かに言う。
「急ぐわよ」
新たな運命が、動き始めていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




