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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「透は、誰を失ったの?」
雫が聞くと、透は一瞬だけ目を伏せた。
雨音だけが響く。
やがて彼は静かに言う。
「妹だ」
雫は息を呑む。
「俺も昔、お前みたいだった」
人を助けたかった。
運命を変えたかった。
だが。
「代わりに、一番大切な存在を失った」
透の声は震えていた。
「気づいた時には、妹の記憶だけが全部消えてた」
雫の背筋が凍る。
「そんなこと……」
「時雨堂は優しく見える。でも本当は残酷だ」
透は苦しそうに笑う。
「助ければ助けるほど、自分が空になる」
その言葉が胸に突き刺さる。
透は最後に言った。
「玲も同じだ」
「え……?」
だが透はそれ以上話さない。
ただ静かに去っていった。
雨の中。
雫は立ち尽くす。
玲も何かを失った?
その疑問が、胸に重く残った。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




