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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
翌日。
時雨堂へ向かう途中だった。
突然、激しい頭痛が走る。
「っ……!」
電柱に手をつく。
すると視界に、知らない映像が流れ込んだ。
駅のホーム。
泣いている女性。
線路。
そして――血。
雫は息を呑む。
「なに、これ……」
次の瞬間。
近くの本屋から、一冊の本が飛び出してきた。
まるで風に押されたように。
『佐伯遥香 27歳』
雫は震える手で本を拾う。
ページが勝手に開く。
『彼女は今夜、自ら命を絶つ』
血の気が引いた。
まただ。
また、助けを求める本。
雫は急いで時雨堂へ駆け込む。
玲は本を見るなり顔色を変えた。
「……急げ」
「知ってるの?」
玲は短く答える。
「このケースは危険だ」
栞も珍しく真剣な顔をしていた。
「今回の相手、“運命拒絶者”に近いわ」
「運命拒絶者……?」
だが誰も答えない。
ただ空気だけが重く沈んでいた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




