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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
その夜。
雫は自室で古いアルバムを開いていた。
消えた記憶を確かめたかった。
母。
幼い自分。
海。
写真はある。
でも。
感情が思い出せない。
「どうして……」
胸が苦しくなる。
そこへスマホが鳴った。
湊からだった。
『明日ヒマ?』
雫は少し迷って返信する。
『うん』
すぐ電話がかかってきた。
「珍しいな、お前が即レスとか」
湊の笑い声。
なぜか安心する。
「……ありがとう」
「え?」
「学校で助けてくれて」
電話の向こうで少し沈黙。
やがて湊が小さく笑った。
「昔から放っとけないんだよ、お前」
その言葉に胸がざわつく。
昔。
雫は何かを思い出しかける。
だが輪郭がぼやける。
まるで霧の中。
「……雫?」
「ごめん、ちょっと頭痛くて」
「無理すんなよ」
電話が切れた後、雫は静かに目を閉じた。
最近、自分が少しずつ壊れていく気がする。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




